若いお母さんから相談を受けました。赤ちゃんが便秘で生後一年以上も浣腸をし ているとの事。そんな例がいくつかあってビックリしました。
便秘の赤ちゃんの体に触れてみると、どの赤ちゃんもキュッとお尻や足の付け根、大腿部を固くしてい ます。赤ちゃんの筋肉は、つきたてのおもちのように柔らかくてホカホカしているので、その中を通る血管や神経、リンパの流れもスムーズで新陳代謝がうまく行わ れているのです。
そこでオムツを換える時、お母さんが固くなっているお尻や大腿部を柔らかなタッチでほぐしてあげると、赤ちゃんの便秘は解消していきます。
皆さんは人の体には「筋肉ポンプ」という仕組みがあるのを御存知でしょうか?足の筋肉が軽やかに収縮と弛緩を繰り返すことで、心臓へ戻っていく静脈血の量(静脈還流)が増え、その事で心筋への刺激が助長され、心臓から全身へ送り出されて いく静脈血の量が増えていくというシステムです。
例えば大人の場合、手術後に病室で寝たままの姿勢を続けていると、筋肉ポンプが働きにくくなります。そのため に心肺機能が低下していくことを予防して、定期的に筋肉を収縮させる機械を足につけたりするのです。
ですから、自分の力で立ったり座ったりできない赤ちゃんを、寝たままの状態で 過ごさせることは、暴力にも近いことだと言えますね。抱っこして足の上に胴体、 胴体の上に頭があるという姿勢(重力の方向と同方向)にするだけでも心肺機能は高まるのです。そういう体のシステムから考えてみると、今のお母さん方が、赤ちゃんを体の前で抱っこひもで抱っこして移動している姿勢は、果たしてどうなのでしょう?
自分で赤ちゃんの姿勢を真似てみましょう。
1 袋のようなものに包まれ、丸く身を縮ませて、抱っこされている姿勢―お尻の部分に重さが全部かけられていて 、大腿部の付け根も縮み、その部分がうっ血状態を作りやすくなっていきませんか?
2 今度は、おんぶされた姿勢――1と比べて2の方が立つ姿勢に近く、足先 の方へ血液が流れやすい感覚がありませんか?
1にも2にもそれぞれ利点がありま すが、昔より最近の方が便秘の赤ちゃんの話が多いのは、「抱っこ方法」にも関係しているかも知れないと思われます。
では、便秘の赤ちゃんの足ほぐしをご紹介いたしましょう。 まず自分の手をよくさすって温めます。赤ちゃんをタンポポだとイメージして、タンポポの綿毛にそっと触れるようにタッチしてあげて下さい。赤ちゃんの足は足の付け根からではなく、ウエストのところからついているとイメージして下さい。 赤ちゃんを仰向けに寝かせます。
STEP A
くお尻暖め>
温めた手をお尻の下に敷きます。その手でゆっくりお尻を揺するようにして暖めながら、お尻の筋肉がホッペのように柔らかくなるようにほぐしていきます。
<大腿部の付け根、大腿部暖め〉
両手で片方の大腿部の付け根を包むようにして温めます。 大腿部も同様にします。
く付け根の、ノビノビ伸ばし〉
次は、大腿部の付け根をそっとゆっくり伸ばします。「のび、のび〜」 と優しい声かけをしながら、腸骨のサイドから大腿部、足先へと流すように ゆっくり何回もなでてあげましょう。反対の足も同様に行います。
STEP B
くかかと押しのばし〉
1 両手で赤ちゃんの片足のかかとを包むようにして、そっと体幹の方へ押し
ていきます。「ウーン」と声をかけながらやってみて下さい。すると赤ちゃ んが力をこめて押し返してきます。 押し返してきたら、もう少し力を加えて押し返してあげます。さらに赤ちゃんがグッと力をこめて押し返します。
2 その力を感じたら、かかとを押している手はそのまま足を包んでいる状態
で、赤ちゃんが押してくる力に負けたように「ウワァ~」とか「ボヨヨー ン」とか言いながら、赤ちゃんの足が伸びようとする方向へ力を抜いてい きます。(あくびで「ア~」っと一気に伸ばしていきます。アクビのように快感のある伸ばし方です)
3 数回繰り返すと、赤ちゃんが今度は思いきって全身で足を外に向かって蹴
る動作を、自分で何度も繰り返すようになってきます。
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