ボディートークコラム

耳をひらく 耳をとざす

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心身一如の体ほぐし

サファリ・パークでラッコを見ました。水面で仰向けに浮かんだまま、おなかに 乗せた大きな貝を、両手にはさんだもうひとつの貝で割る様はユーモラスでとても可愛い。
生の貝をおなかいっぱい食べて、ラッコは水の上に長々と横たわります。そして 丸太のようにクルクルとまわります。係の人に聞きますと、ラッコはそのあと昼寝をして、目を覚ますと一泳ぎして、運動を終えて貝を食べて、クルクルまわって、 ということのくり返しなのだそうです。

なぜラッコは食後にクルクルとまわるのでしょう。それは胃がもたれて、苦しい からです。それでまわることによって胃の撹拌作用を助けているのです。顔の表情を見るとわかります。

胃の働きを助けるためだけでなく、人間も時々ゴ ロゴロ転がることは体の各部の調整にとても有効で す。リラックスをして、人に揺すってもらうと更に気持ちよくなります。

その方法のひとつが「ネコがえし」です。猫がノ ビノビと気持ちよさそうに寝転がっているイメージ で行なって下さい。

耳をひらく

弦楽四重奏やソロ楽器などの、繊細で優美な音楽を聴く時は、私たちの耳は開かれています。隅々まで研ぎ澄 まされた音の芸術を、細部まで聴きもらすことのないよう、全ての音を耳に入れて味わうためです。

耳を開いた状態にしますと、鼓膜は積極的に音をキャッチしようとしますから、自らも振動をして受け入 れた音を増幅します。だから大ホールの客席の最後列” も、ステージのピアニッシモも、ちゃんと聴き取ることが できるのです。
鼓膜は更に、音が無くなっても自ら振動をして音を作ります。ほら、ヴァイオリンが静かに最後の音を収める時、弓はもう止まっているのに私たちの耳には音が響いていますね。 その素晴らしい余韻は耳が作っているのです。

ところでクラシック音楽を愛好している人のほとん どがロック音楽には拒否反応です。特にハードロック などは電気音を最大のボリュームでガンガンが鳴り立てますから、思わず耳をおおいたくなるのです。

耳をとざす

これは聴き方が間違っています。ロック音楽は耳を開いて聴くと暴力的な音楽、 す。ビートの効いた強く押し寄せる音楽は耳を閉ざして、体で振動を受け止めるのです。音の細部まで聴きもらすまいなどとユメユメ思ってはいけません。ほとばしる生命が揺すぶられる快感がロック音楽なのです。だから若者たちが好むのです。

さて、ボディートークの体ほぐしにも同じことが言えます。即ち、体ほぐしを受 ける側は、繊細で優しい手には体を開きます。強い手には体を閉じます。従って赤ちゃんや子供、病人や体の柔らかい人には繊細で優しい手が必要ですし、頑丈でガ ンバリ体の固い背中にはまず強い手でほぐしておいて、柔らかくなってから繊細な手でほぐします。背中によってほぐす手を使い分けるセンスも大事ですね。

≪弱い生命には鐵細な手で≫

ネコがえしの方法

1 ウケテは仰向けに寝て両手を頭の上に投げだす

2 そして一方の膝を、他方の膝を越えて立てます

3 シテはその膝に片手を当て軽く揺すっていって、揺れが大きくなったところで、 もう一方の手をウケテの腰に当ててコロ ンと反転させます。 ◎ウケテは揺れに身をまかせながら「アー」と発声します。

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