ボディートークコラム

肩身をほぐしてニオイをぬく

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悩みをかかえて個人レッスンを受けに来る人達の背中ほぐしを しますと、シコリやユガミがとれたとたん、背中からニオイが出ます。
鼻にツンとくる、決して良い匂いではありませんが、背中ほぐしをしている最中に突然発せられます。そのとたん体がフッと柔らぎ心の悩みが和らぐのです。

ニオイを発するのは縮めていた皮膚が緩んで毛穴や汗穴が開くからです。ニオイの元は緊張した皮膚下に閉じ込められ、溜め込まれていた老廃物です。閉じ込められている時間が長いほどに老廃物は発酵しますから、開いた孔からやっと外に放出された時は相当のニオイとなりま す。

ご存知のように、皮膚も呼吸をしています。即ち、体表近くの毛細血管から炭酸ガスが放出され、それと引き換えに酸素を取り入れています。
心に悩みがありますと息を詰めますが、それと同時に皮膚呼吸も閉じさせてしまいます。

特に前身は気管支に最も近く、その周辺の皮膚も痛めやすいのです。
その意味で背中ほぐしのプログラムのひとつである「息の栓抜き」は肩身の詰まりを取り除く方法ですが、この時は特にニオイが出るので別名「背中の毒抜き」と言っている程です。

ある時、ヤセ細った中年の女性がみえました。顔色も黒ずんで肝臓の機能がずい分低下している様子でした。体がだるくて起き上がる気力が出ないとのことです。
うつ伏せに寝てもらって背中ほぐしをしたところ、肩身の狭さがほぐれるほどに、ウィスキーのニオイが強烈に出始めました。胸椎三番から五番の周辺が特に詰まっていますので、その個所を十分ほど念入りに揺すると、本人は泣きたくないのに涙が次から次へと溢れ出ました。そしてニオイはレッスン室いっぱいに充満しました。

あまりの悪臭に私は窓を全開しました。そして女性はニオイと涙を出すだけ出したらカラッと表情 が明るくなり、ポツリポツリと自分のことを語り始めたのです。恋人を追って地方から大阪へ出てきたものの、会うことはできず、嫌々スナックに勤め、生計を立ててきたが、毎晩飲まなければならないウィスキーで体を壊し、先行きがとても不安だ、というのです。

その後、一週間に一度ボディートークのレッスンに通う毎に涙とニオイは少なくなっていき、顔の血色もよくなって気力を回復していきました。仕事も昼間の事務職に替えたということでした。

ウツ病の人なども背中をキュッと固めてニオイを体内に閉じ込めています。その背中をほぐすと 精神安定剤はどの薬もニオイがワッと出てきます。そして薬のニオイが出てしまうと元気になっていくのです。

もちろん健康な人でも心に悩みがあればそれなりのニオイを閉じ込めています。そういう人は息がほぐれたとたん一瞬ニオイがします。ニオイが出れば背中ほぐしは終了です。

「肩身」とは肩甲骨と肩甲骨の間です。個人的な悩みが深くなると息を詰めるようになりますが、息を詰めるということは、この肩身を固く縮めているのです。
特に胸椎3~5番に、まるでコルクの栓をしたように、きゅうくつ に肩身をせばめているので、「息の栓ぬき」をすることが大事です。
「息の栓ぬき」を適切に行いますと、ストレスを溜めている人ほど強烈なニオイが出ます。

数年前から定例会やセミナーに体ほぐしの実習プログラムを入れていますが、初めの頃はこのニオイをキャッチできる人がほとんど、 いませんでした。私が「息の栓ぬき」をして「ホラ、今、このニオイ!」と言ってもキョトンとしている人が多かったのです。

ところ が最近では「ニオイが出た」と報告する人が増えました。体ほぐしの腕が上がるほどに的確にニオイもキャッ チできるようになります。

「息の栓抜き」の方法
1.ウケテはうつ伏せに寝ます。

2. シテはその背中にまたがって、一方の膝を立て、背中に座り込まないようにします。

3. シテは両手の親指をウケテの胸椎3~5番のあたり
に当て、下から上へクイックイッと揺すります。

4. その間、ウケテは「アー」と発声します。

5. 親指は皮膚をこすらない程度に軽く乗せているだけ
です。決して指圧のように強く押さえないでくださ い。ニオイが出て声がつながれば成功です。

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