Iちゃんは、1 才になったばかりの女の赤ちゃんです。あまり泣くこともな く、スクスクと元気に育っています。お母さんは定期的に子育てのアドバイス を受けにこられていますが、最近I ちゃんの様子がおかしいと、心配そうな表情です。悩みのポイントを整理してみました。
●お母さんにくっついて離れなくなった赤ちゃん、 いつもご機嫌なIちゃんが、最近風邪を引いたり何かと不調続き。お母さんにしがみつ いて離れようとしません。お風呂に入れると大喜びするのに、今はお父さんが入れようとすると嫌がって、火がついたように泣き叫ぶのです。お父さんは原因が分からず、すっかり自信を無くしています、と困った 様子です。
子育てがベテランのお母さんなら、もうそんな事は朝飯前のように気にもならないでしょうが、Iちゃんのお母さんは新米ママでお手上げなのです。
大人は自分の体調が悪くなると「これは風邪かな?悪いものを食べたからかな?」と過去の経験から推測してその体調の悪さを客観的に判断する方法を身につけています。ところが赤ちゃんは体の異和感が続くと、「どうしてかな?」などと、理由が分からないので、不安になってしまいます。そんな時、たっぷ りと安心の中に浸っていた子宮の感覚を求め始めます。
不安になると本能的に羊水感覚の環境を求め、元に戻ろうとするのでしょう。 羊水の中は何よりも自分の生命が安全で心地良かった場所なのです。
子宮から出てきたこんな時は、お母さんの懐に抱かれ、お母さんの肌を感じ、ニオイを感じ、お母さんの暖かい息遣いを感じていたいのです。また、唇にも柔らかい感触が感じられるおっぱいに吸い付いたり、触れていたいと言う欲求がずっと強くなっていくのです。そうすることで、不安感を取り除こうと努力して いるのです。
元気な時は周囲に愛嬌をふりまいてくれるIちゃんも、不安に包まれてい くと、そんな余裕もなく、自分を安全な場に身をおくことで精一杯です。そうなると、もうお父さんではダメで、自分の故郷である羊水により近い環境である、お母さんの傍から離れられなくなるのです。大人でも自分が不調な時は、人にも会いたくないし、自分のエネルギーを内に向かわせて(内息にして)自分で自分の身を守り、回復へのエネルギーに使おうとします。ですから赤ちゃ んも不調な時には、なるべく人との接触を避けて、お母さんの傍でたっぷりと 暖かい息に包んであげることが大切です。
また、お母さんが赤ちゃんの病気を心配しすぎてパニックになると、息が冷たくなり詰まってしまうので、赤ちゃんは益々不安になります。こんな時こそ、ゆったり大らかにお母さんも自分の息を暖め、体をほぐしながら赤ちゃんの羊水役になってあげることが大切です。これとは反対に、“よし、元気のない赤ちゃんを喜ばせよう”と 大人が張り切って一生懸命になり過ぎるのも、赤ちゃんにとっては迷惑になるのです。こういう時に多いに役立つのが「ツイン・ボイス」の声の かけ方や考え方です。
●内から支え、内から膨らませる感性
ツイン・ボイスはそっと相手を内から支え、内から膨らませる方法です。増田先生が高校の音楽教師であった時に、音程のハズれる生徒を導く方法として、 考案されたすばらしいプログラムです。自分を音痴だと劣等感を持っている人 に、「アー」と軽く気楽に声を出してもらいます。「アー」と声をだしている人 の横に寄り添いながら同じ声の質の、できれば全く同じ声で「アー」と、さりげなくどこからともなく入ってきて支えていくのです。最初に声を出している人が、まるで自分の内から声が膨らんでくるかのように感じられます。
双子(ツイン)のような声の出し方です。この考え方は子育てにも大切な感性です。音程の矯正をする時に、一般的に行われる方法は教師が正しい音程で歌い、 音程のハズれる生徒が、その声に近づこうと努力をします。「ツイン・ボイ ス」は逆です。教師は生徒の声を内から支え、支えながら少しずつ音程を上げたり下げたりして、正しい音に近づくようにします。この方法だと難なく正し い音程が取れるようになるのです。
お母さんも赤ちゃんと同じような声で語り かけると、ずいぶん高いレベルの「ヒーリング・マザーボイス」となっていくのです。
まだ「ツイン・ボイス」を御存知ない方は、是非一度、増田先生の魅力ある 「ツイン・ボイス講座」を体験されることをお勧めいたします。きっと目から ウロコの子育てのヒントがあると思いますよ。
ツインボイスレッスン。 (ラッパレスソーダ)
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