♪あかりをつけましょ ぼんぽりに~ お花をあげましょ 桃の花~♪
身の丈程 もある雛壇から、微笑んでいらっしゃる昔ながらのお雛様を見つめながら、思わず 私はこの歌を口ずさんでいました。まだ誰もいない、早朝の小諸(長野県)のホテ ルロビー。独り占めの静かなひとときです。前日、突然に降った3月の雪で、外は 一面の白銀の世界になっていました。
その日の講演テーマは、「暖かいふれあいの中での健康づくり 一—手のぬくもりと 暖かい息を原点に一」です。「皆さん、お はようございます。 では早速、《ほっこり 3》から始めましょう。ハイ、ホッホッ ホッ.ホ ッ ・・・ 」みんなの声は明るく、動 きも穏やかでスムーズです。
というのも、小諸では、健康推進委員で あれば、誰でも人前で《ほっこり3》の指 導ができるのです。(小諸では10年以上前から、市の健康まつりにボディートーク を取り入れ、ここ数年は、祭りの前日にボディートークの講習を受け、祭りの当日 には委員さんが住民の方々に指導する、というような体制になっているのです。今 回は、委員さんが更に内容を深めたいと強く希望されて、特別に企画されたもので した)「人は嬉しい時、悲しい時、何故か歌いたくなりますよね,今日は皆さんと 一緒 に、暖かい息で〈雛祭り〉を歌ってみましょう」
●ひな祭りを歌ってみましょうー五感を膨らませながら
1.暖かい息で歌う
- 両手のひらに、 ハァ~と暖かい息をあてる
- ロ元に置いた手のひらに暖かい息がずっとあたり続けるようにして歌ってみる
2《ほんのりあたたかい光のイメージをつくる》一視覚
- 目をつぶり、 両手のひらをそっとまぶたにあて、 ほんのりと、あたたかい光 のイメージをつくる(♪あかりをつけましょ)
- いないいないばぁ~の要領で、そっと目を開け、 ぼんぼりを嬉しく見つめているイメージをつくる(♪ぼんぼりに~)
3《桜の花びらのやわらかさと香りのイメージをつくる》―触覚亀 嗅覚
- 目をつぶり、桃の花のやわらかい花びらにふれ、
- 次に、その甘い香りを嗅ぎながら、桃の花を雛壇にそえるイメージをつくる
♪お花をあげましょ 桃の花~
4《繊細な笛の音から、太鼓の音へのイメージづくり》―聴覚
. 耳に手をかざし、 遠くから聞こえてくるやさしい笛の音に耳を澄まし、 次に、楽しい太鼓の音も加わった、お囃子を聞いているイメージをつくる
(♪五人ばやしの 笛、 太鼓~)
5 《春を五感全部で感じているイメージづくり》
・暖かい息を部屋中に拡げていき、(雛あられや、薇餅などの味覚のイメージも 加えて)最後に、 全身が春の暖かさにたっぷりと包まれているイメージをつくる。(♪今日は楽しい 雛祭り~)
こうやって歌っていると、いつの間にか、みんなの頬がまるで白酒を召されたお雛様のように、桃色になっていました。 こうして、委員さん手作りの昼食をいただきながらの一 日講演会は、あっという間に終わってしまいました。
帰り支度をしていると、一人の方が駆け寄って来られました。 「去年の健康まつりの時の事です。あったかハンドでお年寄りの背中にふれ、『よくこれまで頑張ってこられましたねぇ~』と言いましたら、その方が『私の人生で、こんなに暖かい言葉をかけてもらったことはありませんでした本当にありがとうございます』と、涙を流しながら喜んで下さったんですよ。私も嬉しく、もらい泣きしてしまいました。 どうしても先生にお伝えしたかったんです」と、話して下さいました。
窓の外に拡がる白い雪が夕暮れの色に染まる頃、私の心は、小諸の皆さんからいただいた《あたたかい春の息》のプレゼントでいっぱいになっていました。
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