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やわらかな足音は一生の宝

足音だけであなたが分かる

足音だけで あなたが分か〜る ♪

    目を閉じてても あなたが分か〜る ♪

ずいぶん古い歌ですが、まさにその通りです。履物を換えると、その音は当然変わりますが、ちょっと自分の足音に耳を傾けることを心掛けていくと、そ の日の心や体の在り方が感じられるようになっていきます。

● 足音をたてたら罰金

私はバレエを長い間教えてきました。レッスン場で小さい子ども達がドタ ドタと足音をたてると、すぐに「ハイ!罰金!」ニコニコしながら言うこと にしています。すると子ども達は、「あっ、そうたった」と、直ちに足音をたてずに動き出します。
《何故、そうするのか?それはただ踊ることだけでなく、《体を大切にする動きを身につけていくこと≫がレッスンの目的だからです。

● 体の在り方が足音に表れる

外出の時には、たいていハイヒール しか履かない私ですが、疲れている時は自分の足音は雑音に近いものになっ ていて、その音が耳に響くことによっ て余計に疲れていることに気づくこと があります。

そんな時は「ゴメン、ゴ メンネ」と足に言いながら、歩き方を ゆっくり、ふんわりとするよう心掛 けています。
街角でも「何!このダラシない音は?」と振り返ると、目の覚めるようなステキなファッションのスタイルの良い若いお嬢さん。でも足音から判断すると、 「あー、この人は腰がズレているな。心も少し精神不安定気味。結婚しても、きっと家は散らかし放題だろうな?」と、思ってしまいます。

忍者学校入学許可。 子育て・マタニティ講座の中でも、この足音のブログラムは、《自分の生命を大切にする感性をはぐくむ≫方法のひとつとして、必ず伝えるようにしています。

例えばこのようにして進めていきます.(S-城石・C=子ども達)
S  みんな、忍者知ってる?
C  知ってるよ

S  忍者ってね、目に見えない位超スピードで走るし、足音も 聞こえないんだよ。できるかな?
C  できるよ!

S  それに人や壁とも絶対にぶつからないんだよ
C  うん

S  じゃあ、やってみる?」
いい?いくよ~ ヨーイ、スタート!
子ども達、つま先立ち で体を少し内へ構えるよ うにして足早に走り回る
S  ウワァー! すご~い!

子ども達は走る

今度はすぐにストップ

その場にストップ できる? 動いちゃダメだよ。

イクヨー

ストップ!

S  じゃあ次は、溶けて消えてみよう

イクヨー   ホーラ    トロトロトロ~ッ

子ども達は、頭の方からソフトクリームが溶けるよ うに、音も立てず、床に倒
れていく
S すご~い !! すごいよ、みんなやれたね。 ヨシ!忍者学校入学許可だね !

沖縄での子育て・マタニティ講座でも、4~5人の男の子達が 大人のセミナーをやっている会場の間を《忍者走り》で走り回ったり、倒れ込んだりと、全身汗でびっしょりになりながら、大喜びで1時間近くを仲良く遊び回っていました。けれど、さすがお見事。忍者達、全く音もせず、何の邪魔にもなりませんでした。

● 柔らかい足は一生の友として

この忍者のように走るには、全身のしなやかな筋肉が必要です。また、足の母指球を中心として、五本の足指の関節の可動性がでなければいけません。 日頃、よく動いている子ども達は簡単にホイッと忍者になれますが、クツを長く履き続けてきた大人の足指関節は、可動性が狭くなり、筋肉も固くなってい ます。

昔は畳で座ったり立ったりの所作でしたが、椅子の生活が増え足指の 動きは悪くなっているのです。クツは進化しましたが、足は退化していっているのです。

大人もそうですが、特に子どもには出来るだけ五本の足の指がシッカリ動く生活を確保 してあげることは、脳の発達にも、とても大切なことなのです。

最近、幼い子の足を触ると「エーッ、信じられない!こんなに硬い足になっている」と 嘆くことが多くなりました。直接な理由でな いにしても、畳ががある家が少なくなり、絨毯の上で立ったり歩いたりしていることも関係しているような気もするのですが・・・・。

ご存知のように、足の筋肉が固くなると、心臓の血液量が減少します。脳へ の血流も滞ることにもつながっていきます。ネコのようにはいかずとも、日頃の足音を穏やかにやわらかい足音をちょっと心掛けるだけでも足の負担が変 わっていきます。

ボディートーークの足ほぐしもマメにしていただき、どうぞご 自分の足を大切になさって下さい。自分の人生の最後の日まで、自分の足で立ち、 自分の足で歩けるなんて、なんと幸せな事でしょう。

未来をになう子ども達も、やわらかい足音を一生の友として、歩き続けていって欲しいですね。




パンダのお母さんから学びましょう

赤ちゃんを抱く手

ボディートーク・マタニティのメインプログラムのひとつに『赤ちゃんを抱く手』があります。この手になるには、次の5つの要素を練習していきます。それは、

1 あたたかい手

2 やわらかな手

3 繊細な手

4 包む手

5 溶ける手

そし て、この5つの要素が総合的に関わり合いながら高まっていくと、羊水感覚の環境をたっぷりと赤ちゃんに提供できるようになるのです。

そしてこの『赤ちゃんを抱く手』は、赤ちゃんのためだけのものでなく、繊細なレベルで自分で自分の心と体をほぐす《一人体ほぐし》や《二人体ほぐし》にも大いに役立つものです。

残念ながら『この手』のレッスンは、紙上ではご説明できませんが、機会があり ましたら、是非一度、ボディートークマタニティ指導者から直接受けてみられることをお勧めします。

今日は、問答法でそのご紹介をしましょう。
初めてお会いする赤ちゃん連れのお母さんと「ボディートーク・マタニティ子育 て教室」で毎回のように交わす会話です。(S…城石、M…お母さん)

S. 「アレッ?赤ちゃんの足、硬いですね」

M. 「エッ?そうですか?こんなものだと思っていましたが…」

S. 「赤ちゃんの体って、もっともっと、つきたてのお餅のようにやわらかいん
ですよ」

―しばらく私が赤ちゃんをほぐした後で、もう一度、お母さんに赤ちゃんに触ってもらう。

M. 「あーほんと、やわらかくなりましたね」

S. 「赤ちゃんには、こんな風に触れてあげて下さいね」

―私がお母さんの体に『赤ちゃんを抱く手』でタッチしてあげる。

M. 「エッ!こんなにやわらかくですか? まるで空気で触れているようですね」

S. 「今までのお母さんのタッチは、たぶん赤ちゃんにとってこのような感じに
伝わっていたと思いますよ」

―おかあさんの従来のタッチの仕方を真似て、私がお母さんの体に触れてみる。

M. 「わぁ~、ずいぶん強すぎる感じですよね」

S. 「そうですよ。ご自分の舌に触ってみて下さい。 やわらかで、あったかいで
しょ?」

―お母さん、自分の舌に触ってみる。

M. 「そうですね。やわらかくて、あったかいですね」

S.「そう。その舌でソッと触れるような感じくらいで、充分なんですよ。では、
赤ちゃんがどう反応するか、この 2 つの方法を比べてみましょうか?まず、 最初は今までやってきた方法でタッチしてみてくださいね」 お母さん、赤ちゃんへタッチ。

S. 「じゃあ今度は、今練習された、舌でなめるようなイメージを大切にしなが
ら、ソフトであたたかいタッチをやってみて下さい」 お母さん、赤ちゃんへ舌なめの要領でやさしくタッチ。赤ちゃんの顔が、や わらかく、嬉しい表情へと変化していく。

M「ワー、本当に表情が変わっていくんですね。ア〜、私は今までずいぶん荒々しいタッチをしていたんですね…」

こうして、一度ですっかり素敵なママの手になる人もいますが、一度で無理な方も、 二、三度通われて練習されると見違えるようないい手になっていかれます、その手で赤ちゃんの体に触れ、ほぐしていってあげると、赤ちゃんはご機嫌で大喜びです。

動物のパンダの子育ては感動的ですが、100gの超未熟児で生まれた赤ちゃんが 無事育っていく秘密は……出産後3日間、ほとんど食事もとらずにせっせとあたたかく、やさしいお母さんの舌が、赤ちゃんをなめ続けていくからなのだそうです。

なめるという動作によって、赤ちゃんの皮膚の新陳代謝が促進され、なめられ
る刺激で排泄がスムーズになっていくこと。また腸が動くことで、内臓への刺激も加わり、消化吸収もうまくいくようになること。

なめる、なめられるという肉体的な相互関係の中で、心理的な母子の絆が強く結ばれていくこと。パンダ赤ちゃんが啼くとなめ、なめられると落ち着く、という繰り返しの中で、赤ちゃんの中に母親に対する《原信頼》が育っていく。 のだそうです。

人間にとっては、動物の舌と同じ役割が、『赤ちゃんを抱く手』と『赤ちゃんに 語りかける声』なのですよね。人間の赤ちゃんもパンダの赤ちゃんも一緒です。




便秘の赤ちゃんの心ほぐし・足ほぐし 2

(4月1日から続く)
この体ほぐしのコツは、お母さんが楽しんでやることです、全身で赤ちゃんと 「手相撲一足相撲」を楽しんで下さい。

「ワァー ○○ちゃん強いねぇ!! すご いねぇ!!」とお母さんが喜んでくれると、赤ちゃんも嬉しいのです。(ほぐし方が良ければ、赤ちゃんは「キャッキャッ」と声をあげて笑い始めます。悪ければ喜びませんので、ご注意下さい)

この体ほぐしによって、心地良い振動が全身へ伝わり、赤ちゃんの腸の蠕動運動を活発にしていくので、びっくりするほど沢山のウンコが出るようになっていきます。

ボディートークでは「便秘」は「あきらめ気味の我慢」「我慢することでお腹の左下部分を固めていくため」と捉えていますが、赤ちゃんも一緒です。

一才のお誕生日が近くなってくると、「ハイハイしたり、立ったり」するように なりますね。この時期の赤ちゃんは脳の神経細胞が特に急速に発達していく時期で、 自分の頭の中で考えたり、思ったりすることがいっぱいになるのですが、それに対し骨や筋肉の発育は充分ではないので、わが身が思いのままにならぬ悔しさや我慢を溜め込んでいきがちです。

だから思い切って全身で大地を蹴って、自分の足で自分の力を実感できる、そういう力のパフォーマンスが必要であり、「学習したい」と、 赤ちゃんがとても願っている時期なのです。「ワァ~すごいね! 強いね!」と、一回 ごとにほめてやりながら、「自分でやれた! 自分に は力がある!」という喜びを味合わせてあげて下さいね。

≪生きていく力≫は、自分の力で息ができること、 食べ物を得て口に入れ、消化吸収して排便、排尿できること、自分の足で立ち、行動できることが基本です。 この力を周囲から暖かく支えられ、自分でやれるという自信がく生きる力、生きていく力》を育てていきま す。

≪赤ちゃんは言葉がわかるのかしら?≫

ごきげん気分の赤ちゃんを膝に抱いているお母さんとおしゃべりしていた時の ことです。お母さんは、毒舌のおじいちゃんのグチを次から次へとこぼし始めました。しばらくすると、突然赤ちゃんが大きな声で「ワッ!」と火のついたように泣き始めました。

オッパイ? オムツ? 私は赤ちゃんの声の表情と動きを見て、 思わず「大好きなおじいちゃんなんだよね。悪口言われて悲しかったね。ゴメンネ〜」と、言いながら背中をそっとほぐしていくと、穏やかになりました。

お母さんは「この子は話の内容がわかるのかしら?」とキツネにつままれたような表情です。では、赤ちゃんはどのように言葉を理解したのでしょう。人の行動はイメージから始まります。(イメージは頭の領域)そして、イメージは何らかの感情を伴います。(感情は心の領域)そして、イメージと感情が体の内部にウゴメキを起こします。

ボディートークでは、この微妙な動きを「内動」と名付けて います。(内動は体の領域)言葉は、イメージ・感情・内動がひとつにまとまって 生まれます。赤ちゃんが物が欲しい時に「ア、ア、ア〜」としきりに喃語を発し ているのも、まだ言葉には完成されていませんが、イメージ・感情・内動が一つ になって出てきているのです。

原始時代の日本人は「自分のもの」ということを 意味するのに「ア、ア、ア」と言ったり、「あなたのもの」ということを意味する のに「ナ、ナ、ナ」と言っていたようです。やがて文字を使うようになり、「ア」 が「吾」となり「ナ」が「女」になったと考えられます。

言葉を知らない赤ちゃんは、言葉の奥に潜んでいるイメージ・感情・内動を敏感に感じ、そのことに反応しているのだと思えます。この三領域は「息」から生まれます。きっと赤ちゃんは「息」に反応しているのでしょう。

出産予定日が過ぎているのに、なかなか赤ちゃんが降りてこないケースがあります。妊婦さんや周囲の人が慌てず、優しく赤ちゃんを包むように「大丈夫だよ、怖くないよ、 お母さんたちが待っているからね。もう出てきてもいいよ」と、暖かい息で声をかけます。すると陣痛が起こりやすくなる例がたくさんあります。

これも赤ちゃ んが言葉を理解したのではなく、その言葉を発する息の暖かさや、お母さんの体の内動をキャッチするのだと考えられます。

おじいちゃんの悪口に泣き出した赤ちゃんは「おじいちゃん」という響きを察 知して「おじいちゃんのことだ」とわかり、悪口の感情や内動は、お母さんの冷 たい息(声)や体の振動から共鳴し、理解して反応したのですよね。赤ちゃんの 生命の感性はすごいと思いませんか?




便秘の赤ちゃんの心ほぐし・足ほぐし 1

若いお母さんから相談を受けました。赤ちゃんが便秘で生後一年以上も浣腸をし ているとの事。そんな例がいくつかあってビックリしました。

便秘の赤ちゃんの体に触れてみると、どの赤ちゃんもキュッとお尻や足の付け根、大腿部を固くしてい ます。赤ちゃんの筋肉は、つきたてのおもちのように柔らかくてホカホカしているので、その中を通る血管や神経、リンパの流れもスムーズで新陳代謝がうまく行わ れているのです。

そこでオムツを換える時、お母さんが固くなっているお尻や大腿部を柔らかなタッチでほぐしてあげると、赤ちゃんの便秘は解消していきます。

皆さんは人の体には「筋肉ポンプ」という仕組みがあるのを御存知でしょうか?足の筋肉が軽やかに収縮と弛緩を繰り返すことで、心臓へ戻っていく静脈血の量(静脈還流)が増え、その事で心筋への刺激が助長され、心臓から全身へ送り出されて いく静脈血の量が増えていくというシステムです。

例えば大人の場合、手術後に病室で寝たままの姿勢を続けていると、筋肉ポンプが働きにくくなります。そのため に心肺機能が低下していくことを予防して、定期的に筋肉を収縮させる機械を足につけたりするのです。

ですから、自分の力で立ったり座ったりできない赤ちゃんを、寝たままの状態で 過ごさせることは、暴力にも近いことだと言えますね。抱っこして足の上に胴体、 胴体の上に頭があるという姿勢(重力の方向と同方向)にするだけでも心肺機能は高まるのです。そういう体のシステムから考えてみると、今のお母さん方が、赤ちゃんを体の前で抱っこひもで抱っこして移動している姿勢は、果たしてどうなのでしょう?

自分で赤ちゃんの姿勢を真似てみましょう。

1 袋のようなものに包まれ、丸く身を縮ませて、抱っこされている姿勢―お尻の部分に重さが全部かけられていて 、大腿部の付け根も縮み、その部分がうっ血状態を作りやすくなっていきませんか?

2 今度は、おんぶされた姿勢――1と比べて2の方が立つ姿勢に近く、足先 の方へ血液が流れやすい感覚がありませんか?

1にも2にもそれぞれ利点がありま すが、昔より最近の方が便秘の赤ちゃんの話が多いのは、「抱っこ方法」にも関係しているかも知れないと思われます。

では、便秘の赤ちゃんの足ほぐしをご紹介いたしましょう。 まず自分の手をよくさすって温めます。赤ちゃんをタンポポだとイメージして、タンポポの綿毛にそっと触れるようにタッチしてあげて下さい。赤ちゃんの足は足の付け根からではなく、ウエストのところからついているとイメージして下さい。 赤ちゃんを仰向けに寝かせます。

STEP A

くお尻暖め>
温めた手をお尻の下に敷きます。その手でゆっくりお尻を揺するようにして暖めながら、お尻の筋肉がホッペのように柔らかくなるようにほぐしていきます。

<大腿部の付け根、大腿部暖め〉
両手で片方の大腿部の付け根を包むようにして温めます。 大腿部も同様にします。

く付け根の、ノビノビ伸ばし〉
次は、大腿部の付け根をそっとゆっくり伸ばします。「のび、のび〜」 と優しい声かけをしながら、腸骨のサイドから大腿部、足先へと流すように ゆっくり何回もなでてあげましょう。反対の足も同様に行います。

STEP B

くかかと押しのばし〉
1  両手で赤ちゃんの片足のかかとを包むようにして、そっと体幹の方へ押し
ていきます。「ウーン」と声をかけながらやってみて下さい。すると赤ちゃ んが力をこめて押し返してきます。 押し返してきたら、もう少し力を加えて押し返してあげます。さらに赤ちゃんがグッと力をこめて押し返します。

2  その力を感じたら、かかとを押している手はそのまま足を包んでいる状態
で、赤ちゃんが押してくる力に負けたように「ウワァ~」とか「ボヨヨー ン」とか言いながら、赤ちゃんの足が伸びようとする方向へ力を抜いてい きます。(あくびで「ア~」っと一気に伸ばしていきます。アクビのように快感のある伸ばし方です)

3  数回繰り返すと、赤ちゃんが今度は思いきって全身で足を外に向かって蹴
る動作を、自分で何度も繰り返すようになってきます。




初めて会う赤ちゃんとのお付き合いは?

初めて会った赤ちゃんと接する時の〈眼差しや息〉につい て説明しましたが、今回はボディートークの〈生命を大切にする感性〉につい てのエピソードをご紹介しながら話を進めていくことにします。

● 人を踏み台にしない!!

「肩甲骨ゆすりをしましょう」と増田先生の指示された通りに二人組になり、 うつ伏せになった相手の方の背中をまたぎ、肩甲骨を揺すろうとした時です。 「ストップ!今、あなたのやったことを最初からもう一度再現してみて下さ い!」と、いつにない強い口調で注意されたのです。

「エッ?何か、悪いことしたのかしら?」と、理由も分からずキツネにつままれたような顔をしなが らやり直してみました。「ホラ!それですよ。その方法は生命を大切にしていないやり方です。決して人の背中を踏み台にして、またいではいけません。もし下が赤ちゃんだったら、あなたはそうしましたか?」確かに私は、両手を相手の方の背中の上に置いたまま、「ヨイショ!」とまたいでいたのでした。

言われてみれば、〈ボディートークの生命の触れ方の原則〉である<ふんわりと繊細に→すっきりと大胆に→しっとりと夢中に>の視点から見ると、タブ ーなことを平気でやっていたのです。私はこの時、改めて〈自分の感性の鈍さ〉に気づき、どんな時にも“生命を大切にしていく、ボディートークの感性を素晴らしいと思いました。でもまだまだこれは初歩レベルで、もっと深い繊細な世界があったのです。

● バイオリンが教えてくれた繊細なタッチ

「これは私の父が弾いていたバイオリンだけど、弾いてみる?」と言われた時のことです。恐る恐る弓を受け取り、先生の真似をして弾いてみると、「ギィギィー」の音ばかり。

先生はニコニコとされながら私の傍に寄り、ご自分の手を私の右手にそっと包むように添えて弓を動かされました。すると、た ちまちバイオリンは美しい音色を奏で、その細やかで心地良い振動が体中に不思議な感覚で響いていったのです。音は決して耳だけで聞いているのではなく、 体の細胞全てで感じているのだという実感でした。

先生のタッチは、まるで鳥の羽毛のように、たんぽぽの綿毛のように軽やかで優しく、あたたかで繊細な触れ方でした。こんな高いレベルの繊細さがこの世にあったのかと、しばらくはガーンとショックで、そのすごさに身動きできなくなるほどの〈ふんわりさ〉でした。

生まれて初めての体験でした。そして私は今まで何と傲慢な触れ方や動き方をしてきたのだろう、生命に対して何と乱暴な生き方をしてきたのだろうと、自分に謝りたい気持ちになりました。
(40年近くクラシックバレエのレッスンで、や わらかく、繊細に動いてきたつもりでしたが…)

● 自分に優しくなれそうです

ボディートークに出会わなければ一生知ること ができなかっただろう(生命をこよなく大切にする繊細な感性〉は、こうして増田先生から教えて いただいたのです。

今私は、若いお母さんや、特に看護士、保育士、助産師さんなどを中心に〈エンゼルハンズのプログラム> を通して、このボディートークの繊細な感性をお伝えさせていただいています。 一度この繊細さを体験されると、ほとんどの方が、かつての私がそうであったように「こんな世界があったのか!」と驚かれます。(実は、ボディートーク の<一人ほぐし>も、まずこの自分に優しく触れていく感性を磨いていくためのものでもあるのです)

この世界が身についてくると、それまで無造作に見ていたものが、よりクリアに見えるようになって、次のような光景が気になって仕方なくなってきます。 ホラ、土筆を取りに行って、最初はなかなか見つけにくいのに、慣れてくるとあちこちに土筆があるなって見えてくる。きっとあの感覚と同じようなものですね。

● 赤ちゃんゴメンネ

それはなぜか、もう子育ても終わった50代ぐらいの女性に多いのですが….。 赤ちゃんを見るなり「あ~かわいい!」と、赤ちゃんの都合も聞かずに、すぐさまママの手から赤ちゃんを抱き上げてしまう人がいるのです。

お母さん同志はお知り合いであっても、初対面の赤ちゃんには突然のことで、びっくりして 、身を固くしたまま泣くこともできなくなっている赤ちゃんもいます。ママもそ の手の出し方が見事なほどに自信たっぷりで、アッという間のスピードですから、何も言えないままです。

そんなことはお構いなしに「ホント、かわいいネ ェ~」と嬉しそうにあやし続けていらっしゃる光景です。せめて赤ちゃんに 「抱っこしようか?」と尋ねたりするくらいの心遣いは欲しいと思うのですが ….。「赤ちゃんゴメンネ」って、こちらの方が心の中で呟きたくなります。 .

いつも一緒に生活していない人の〈息〉や〈声〉を赤ちゃんが〈コレは安心 だ〉と確認するには、少し時間が必要なのです。まだ目がぼんやりとしか見えていない赤ちゃんの感覚は、大人に例えれば、真っ暗闇の中で手探りで動いて
いる状態と同じなのです。

そんな時は匂いや声や周囲の気配に敏感になってい ますよね。そんな時、誰かの手が急に伸びてきて触れられたら、「キャー」っ て叫んでしまいますでしょ?

● 少しずつ少しずつ、近づいていく

赤ちゃんは何かに興味があると、それをまずジーッと見つめます。そして更 に関心を持ち始めると、赤ちゃんの方から、そ~っと そっと、ゆっくり手を伸ばしていきます。赤ちゃんとのお付き合いには、この感性が大切なんですね。増田先生のミュージカル「星の王子さま」の脚本の中にも、このことが分 かりやすく表現されています。

キツネ 「いいかい、初めて友達になるには、まず辛抱が大切だよ」
子ども 「しんぼう?」 キツネ 「最初はね、少しはなれて…」 キツネ 「そう、そんなふうに草の中に座るんだ」 ボスキツネ「そして、ワシはキミをチラッと見る」 子 「ボクもキミをチラッと見る」 キツネ全「あとは何も言わない」 と言いながら、お互いにチラッと見合いながら少しずつ、少しずつ、近づいて行きます。

王子さまとキツネさんが仲良しになっていく、ほのぼのシーンの一コマ です。 大人になると、忙しすぎてついつい忘れてしまいがちな、<ふんわりと繊細に生命へ触れる感性>でも赤ちゃんといると、自然にこの感性がよみがえってきます。

やっぱり赤ちゃんは<生命にとって大切なものを教えてくれるエン ゼル>なんですね。今日も赤ちゃんに会えるといいなぁ~。




生まれてくる赤ちゃんへのプレゼント

♪ ちょうちょ

ちょうちょ

菜の葉にとまれ~ ♪

春の野に舞う蝶を追いかけ、息をひそめて近寄り、指先で蝶の羽根が壊れないように、そっと、そっと つかまえたぁ~~!! その瞬間の感覚は、いま思い出しても嬉しくて、体中が ワクワクしてきます。

このように心も体も頭もやわらかな時代に、自然の生き物 のふれあいの中で遊んだ体験は、大人になってもこうして鮮明に体に蘇ってくる ものなのですね。テレビもおもちゃも無い時代には、子ども達はこうして自然を 相手に、朝から夕方まで遊ぶのは当たり前でした。

でも今からお母さんになる人 達の子どもの頃は、もう自然なものより、人工的に作り出されたおもちゃや機械 にふれることの多い時代に変わってしまっていました。最近ではロボット犬も大流行で、看護師を目指す学生の中にも、人にふれることが怖いとか、気持ち悪いとかいう人もいて、驚くこともあります。

だから赤ちゃんを荷物のように無造作に取り扱う、若いママたちが増えてきた のかしら?と悲しんでいる方へ、ちょっと心が明るくなるお話。

それは、妊娠期にはお母さんの体はホルモンの影響であたたかく、やわらかになっていきます。赤ち ゃんをよく分かってあげられる心や体になっていくということです。つまり、この時に妊婦さんが暖かい、たっぷりとしたふれあいに包まれて過ごすと、今度は素直に自然に生まれてきた赤ちゃんに、その暖かいふれあいを伝えていけるようになっていく、ということです。

そしてこれは、妊婦ばかりでなく、年齢、性別 に関係なく、誰もが羊水感覚の環境に包まれれば、赤ちゃんのようにやわらかな心と体が芽生えてくる、ということです。

ボディートークのマタニティ講座は、 大人になり忘れかけていた生命に、やさしい赤ちゃん感覚をもう一度体験し、その手で赤ちゃんを抱いてみたい方にはおすすめの講座なのです。

では今日はマ タニティ講座のとっておきのプログラムである《寄り添いほぐし》をご紹介いたしましょう。

<寄り添いほぐし>

1  ほぐす人は自分が赤ちゃんになったとイメージして下さい。お母さん大好きというように、人に寄り添うのです。

2  次は、横向きに寝ている姿勢になっている相手の背中の側に座ります。しっかりと両手を暖め、その手のぬくもりで少しずつ相手の背中、肩、お腹、足、足 先とゆっくりゆっくり暖めていきます。

3  スヤスヤと赤ちゃんが安心して眠れるぐらいの速さでの波が、体に伝わり続けます。ゆっくり、ゆっくり、ゆりかごのように。

4  暖めたり、ゆっくりそ〜っと体をさすったり、《この部分をしっかりほぐしてあげよう》という意識はほとんど持たずに、二人がお母さんと赤ちゃんのよう
に、仲良く寄り添っている感覚です。

5  ほぐされている人は、いつの間にか眠ってしまう人もいます。「気持ちいいなあ。不思議な世界にいるような、なんだか懐かしい気持ちだなぁ」という感覚 が体に伝わっていきます。まさに羊水感覚の体ほぐしです。

マタニティ講座のプログラムに《寄り添いほぐし》が入れられているのは、赤ち ゃんが生まれる前に、パパにもママにも赤ちゃんと同じ体験をしてほしいという思 いからなのです。

もちろん妊婦であるママだけじゃなく、ババを交代して体験します。“こんなに気持ちいい環境の中で、赤ちゃんは安心して 10 ヶ月過ごしているん だなぁ”

“だとしたら、お腹の外に生まれ出てくる赤ちゃんに、私達はどんな環境を
「あげたらいいんだろう?”と、ババやママが二人でいろいろ楽しみなが ら工夫してくれるだろう、と考えたからです。

寄り添いほぐしの《《手のぬくもり》 格別ですが、それに《暖かい息の声かけ》が加わると、ますます赤ちゃんは大喜び です。




いない いない バァ~は生命を膨らませる

赤ちゃんを見ていると、いつも体のどこかをムズムズと動かしています。また 学童期ぐらいまでの子どもたちは、眠っている間にたくさんの寝返りを繰り返して います。もし、このような運動ができないように、体を縛ったままで動けない状 態にし続けると大変! 私たちの体はあっという間に不調になり、病気になっていきます。

このように、ほとんど自分では意識せずに無意識の間に体が動いてしまっている 運動を、ボディートークでは、うごめき-蠢動と呼んでいます。私たちの体は異 和感や不調を感じると、本能的にいつも体をいい状態にしておこうとしてうごめき、 体液や神経やホルモンのバランスを整えていく、素晴らしい力を持っています。

自然の動物が元気なのは、蠢動を豊かに使っているからでしょう。
ところが、私たちが過度の緊張状態ばかりの生活を続けていくと、どうなるので しょう? いつの間にか、《緊張》から《リラックス》へ切り換える体内スイッチ が、働かなくなっていくのです。

これはとても怖いことです。エアコンのスイッ チが冷房のままで暖房に切り換わらないようなものですから。そして、生まれつき 持っている《自分の体をリラックスさせ、心や体の掃除をして回復させている働 き》が、弱くなっていくのです。

そこでおすすめなのが、先月号からご紹介している《グーパー運動》です。今回 は運動する時のイメージも自分で楽しく加えて《ゆっくり足指グーパー運動》へとステップアップしてみましょう。どうイメージするかで、随分、効果も異なってきます。

《ゆっくり足指グーパー運動》
1  手・足の指を「グゥー」と声を出しながら、ジャンケンのグーの形にします。

2  その手・足を、ゆっくり「パァー」と声を出しながら開いていきます。開いた時はしっかり全開ではなく、ゆとりのある伸びやかなパーです。

この時のコツは、例えば自然の花が朝のさわやかな光を受けて、ゆっくり気持ち よく花びらを開いていくようなイメージでやることです。焦らず、ゆったりと、気 持ちよく「グゥー パァー」
3  次に開いた手をそっとゆっくり閉じます。その時「グゥー」。閉じた時も息 を詰めすぎないで、大切なものを自分の体にたっぷりと満たし、そのまま
「おやすみなさい」という感じです。

4  2、3、の動きを気楽に繰り返します。 もうお気づきかもしれませんが、この方法でやると手先・足先のみで動くので はなく、全身あくびをするような動きへ、いつの間にかなっていきます。

5  目も、口も、鼻も、肛門も、耳も、全身が「グゥー パァー」。ガッチリ固 めてしまっている頭の中も「ポカーン」とするイメージで「グゥーパァー」。すると本当のあくびが、思わず次から次へと出てくるかも知れません。 副交感神経が活性化されてきたサインです。

あくびが出るようになった方は、おめでとう! 成功です!  あなたの体が、ボ ディートークの自然体へ変身し始めました。これがまさにボディートークの自然体運動のスタートなのです。オノズカラある本能的に自分を守る為の働きが、体から引き出されてきたのですから。

ボディートークの運動は、どの動きも外からはただ、手先・足先だけが動いているように見えますが、実は、頭ーイメージ・ 心一感情・体ー内動が一つとなった全身運動なので、内がたっぷりと動いている のです。

ですから、たとえマヒして動かなくなっている部分があっても、そこを《《動か そうとするイメージ》を本人が積極的に持ち続けるだけで、マヒ部分への神経が 活性化し、毛細血管への刺激が伝わり、少しずつですが、確実に生命が活性化し ていくのです。

(特に第二の心臓と呼ばれる足の筋肉への刺激を、ミズカラ起こす ことへの大切さは以前お話した通りです)

この《グーバー運動》をきっかけに、きっとあなたは自分の体の声が聞こえて くるようになるはずです。そして次から次へ体の欲求する動きが、内から面白い ように湧き出てくるのです。いいですね。赤ちゃんもそうやって成長し続けてい ます。
さあ、これからは生命がよみがえり、膨らんでいくすごさをいろいろ発見して みて下さい。




輝く冬の星座のように

● 心の奥の宝石が輝く

♪  木枯らし  とだえて  冴ゆる空より
    地上に  降りしく  くすしき光よ
 ものみないこゆる   しじまの中に
   きらめき揺れつつ   星座はめぐる♪

これは「冬の星座」という歌ですが、寒い冬の夜空の星たちを見ていると、自分の心の奥にある何かキラキラしたものが星の光に照らされ、輝き始めるような感覚が湧いてきます。

自然の美しさが届けてくれるプレゼントは格別ですが、≪人の言葉≫も又、心の内に眠っている宝石を輝かせる光になってくれることもありますね。あな たもきっと、そんな大切な、かけがえのない言葉をお持ちだと思いますが…。

● 生命の種に水を注ぎ続ける

大阪のボディートーク・ミュージカル「しらゆき姫」は、1才と3才の幼な子、そして、幼なじみ同士という70代のおじいちゃんエイジ男性二人も 出演者に加わりほのぼのとした、あたたかい舞台でした。まるで夢の絵本が再現されているかのようでした。

ラストソングの「ファンタジー」の曲が流れ出すと、鳴りやまない拍手が会場に響き、私の目から涙が次から次へとあふれていきました。花束贈呈を受け、ご挨拶される明先生を見ながら、「よくぞこの日まで元気で生きていて下さった。 そしてこんな素晴らしい生命のきらめきを私たちに下さって、ありがとうございました」と感謝の気持ちでいっぱいになりました。

18年前の冬、『生命が危ない状態です』と医者から告げられながらも、車椅子に乗り、ミュージカルの練習会場に通われ、本番のステージにも立たれた先生。どんな 時も、一人一人の子ども達の生命の種が膨らみ、その子らしい花が咲くことが何よりの喜びで、惜しみなく水を注ぎ続けられた先生でした。

晴れやかにライトを浴びて、ご挨拶されている先生のうしろ姿。それは様々な困難があろうとも決してあきらめず、いつも明るい心で進まれている姿でした。そんな先生を私は心から尊敬し、我が師として誇りに思っています。

● みんなの生命が輝く

さりげなく、楽しく、スーッと心の中に溶けてきて、演じる人も、観ている人 も、いつの間にかワクワク、ドキドキし てくる先生のミュージカルのセリフや動 き。それに演じる人の本気の心がプラスされると、突然にキラキラと輝きはじめ る生命。それが舞台の魔術、舞台のすごさです。

出演者と裏方さんの生命の輝きがひとつに合体してできあがっていく舞台だからこそ。しかもみんなとても仲良しで兄弟のように、家族のように寄り添える仲間だからこそ、そのあたたかさが演技を通して客席にも拡がっていくのです。

私は思い切っ て全身で、手が痛くなるほどの拍手を送りながら、かつて私のモダンダンスの先生で あった、ジェン・モーリス・ジャン先生の言葉を思い出していました。

● 私の心を照らしてくれる光

「Akiko、たとえ周りの何千人もの人が、その踊り、演技、音楽に対して大きな拍手を送っていたとしても、あなたが感動しないものには決して拍手をしてはいけません。それと反対に誰一人拍手をしない時でも、あなたが本当に素晴らしいと心から 感じた時は、ためらわず全身で、自信を持って拍手を送りなさい」と。「そういう姿勢こそが、本物の素晴らしい芸術を育てていくのです。そしていつも自分に厳しい目を向け、自分の感性を磨き続けていきなさい」とも。

私は新たな感動に出会う度に、 何故かいつも、私を育てて下さった先生方の言葉が蘇ってきて胸が熱くなります。それらの言葉は、まるで夜空の星座のよう私を見守り続け、その光の輝きで私の内にある感性が更に目覚め、前へ進んでいく力を生み出していってくれるのです。

● いつか、ある日…….

明先生のミュージカルに散りばめられている幾つもの心に染みるセリフは、やがて出演者の子ども達が成長し、大人になった時、彼ら、彼女らの心の中にきらめき始めることでしょう。

しらゆき姫のミュージカルはもう終わってしまいましたが、今夜も私の心の中に は、たくさんの星たちがまたたいています。あなたもそっと目を閉じて、あなたの心の中の星たちのお話を聞いてみません か?

―広島エンゼルハンズセミナー 感想よりー

生きているのは奇跡
曽根 智子(広島会員)
エンゼルハンズセミナーは、あたたかく柔らかな雰囲気の中、行われました。そ の中で印象に残ったのは、「生きているのは奇跡」という言葉です。それを聞い た時、兄弟たちの事が頭をよぎりました。

生後一月くらいで亡くなったので、写真なども残っていないのですが、両親から何回も、生まれた時の事や、その後の治療の事等を聞いていたからだと思います。私は5つ子で生まれました。その中でも一番小さく生まれたので、本当に今生かされている事、生きている事がすごい事だなと思っています。だから、一日一日を大切に生きていこうと改めて思いました。

他に、赤ちゃんと話す時には、赤ちゃんの口に言葉を入れるようにしてお話していく事を学びました。そんな事を考えて話す事がなかったので、最初はよくわかりませんでした。しかし実際に意識して行うと、自然に体が柔らかく、声が暖かくなっているのを感じました。

音無しボールをすると、初めは受け止める時に少し音がしてしまいましたが、体全体をしなやかにして、ボールを赤ちゃんだと思うと教わり、意識してやってみると、少しずつ音がしなくなってきました。 続けてやっていくとしなやかになるのかなあ、と思いました。毎日少しずつやっ ていきたいです。




子どもが自分で身を守る為の取って置きの方法     ストップ→とろけ寝→ゴキブリ→まわり立ちをやってみよう

♪  雪やこんこ あられやこんこ
    降っても 降っても まだ降りやまぬ
  犬はよろこび 庭かけまわり  猫はコタツで 丸くなる ♪

● 思い切って駆け回るっていいなぁ

雪が降ろうと、風が吹こうと、ものともせず元気に駆け回る子どもたち。見ているだけで嬉しくなってきますね。
朝から夕方までびっしりのミュージカルやバレエの練習後も、疲れ知らずに仲良く「ウワァ~!キャッ!」とか、声をあげながら、仲良く走りまわっている子ども達見ながら、私はちょっと羨ましくなることがあります。

● 女の子はもの静かに

実は私は幼い頃、静かにままごとをしたり本を読んだりがほとんどで、あまり友達と駆けまって遊んだことがありません。明治生まれの、しかも和裁の先生をしていた厳格な祖母に育てられましたから、「女の子が声をあげながら走りまわるなんて、はしたない!」

ましてや「木に登るなんてとんでもない事です」 としつけられ、保育園から帰って来ると祖母の傍に座り、針を持ち、お人形の着物などを縫って遊んでいました。

でも「私もあんなふうにやってみたい」と いう憧れは秘かにありました。
そこである日、お宮の境内を囲ってある長い塀にこっそりよじ登り、近所の子ども達が忍者のように塀をカッコよく走る真似をしてみようと思ったのです。
その日は境内には誰もいませんでした。

生まれて初めて登り立ってみると、あっという間に1.5m以上もある塀から見事に「ドサッ!!」落ちてしまったのです。 一瞬息が止まるかと思うほど体を強く打ち、しばらく身動きできませんでした。でも誰にも言えず…。

それにコリたのと、元々病気がちだったことも重なって、それからのお転婆はストップになりました。そんな理由で運動神経を磨くチャン スは乏しくなっていきました。幸い3才の頃からバレエをすることになり、かろうじて踊りの動きだけはできるようになったのです。

幼い頃にどんな遊びをしたのか、どんな動きをしたかは、その人の心や体の成 長に大きな影響を及ぼしているのは、みなさんもご自分の過去を振り返ると、推し量ることがお出来になると思います。

そんな私が、自分の心の奥に眠るヤンチャな欲求に気付き、それを開発していけたのは≪ボディートーク≫のおかげです。特に≪あたたかい息と手のぬくもり、弾む生命≫の精神たっぷりに仕立てられている、ボディートークのミュージカルの出会いは、私に大きな変化をもたらしてくれました。

ここで思い切って子どもの頃に出来な かった、心と体が弾む体験をさせてもらっているからです。 最初、ボディートークの胴ぶるいの動きが紹介された時、バレリーナの感性としては、とてもこんな奇妙な動きは私には絶対できない、と思っていました。

今は犬の胴震い、オオカミの遠吠え、なんと自然で美しい動きと響きなんだろう、と感動するようになったのですから、≪ボディートーク≫ってすごい。

ボディート ークを学んだことで、私の人生は豊かになれました。それが少しずつ身についていったからこそ、赤ちゃんの心や子どもの内なる動きが感じれるようになっていった のです。

● ストップ→とろけ寝→ゴキブリ→まわり立ちをやってみよう

毎月、ボディートークの子育て教室に通う、親子の変化には目を見張るものがあります。先月、お話しをしたK君は、今月はもうすっかり自分の欲しいものは積極的に自分から行動してゲットできるようになり、生命がパワーアップして嬉しそうです。ママも一回りも二回りも心の余裕ができて、オロオロしなくなり、ふっくら素敵なママへ成長していかれています。

神戸教室に通うG君も2才5ヶ月になり、広いセミナー室に入るなりボディート ーク指導者のKさんとしばらく走りまわっていると、自分で「ストップ→トロトロ
→ゴキブリ→まわり立ち」と声を出しながら、ボディートークの一連の動きをしては、 また走り出します。

飽きることなく何回も何回も。Kさんの「ストップ」の声にもすぐ に反応できます。羽生結弦とまではいきませんが、穏やかでやわらかでしなやかな流れるような動きです。

G君は毎週ママと一緒にKさんの「子育てボディートーク教室」でこの運動をや っているのです。この動きは、G君ぐらいの子どもの心と体の成長にはとても有効です。 全力で走っている動きを自分の意志で瞬時にストップできる能力は心を自己コントロールできる能力につながっていきます。

これが身につくと、危ない時「ストップ!」の声をかけるだけで、その動きを止めることができるようになります。ママも 「ダメ!」という回数がグンと減っていくことでしょう。一言「ストップ」だけでいい のですから。

とろけ寝・・・ストップした時、固くなった体と心を一瞬にして溶かすイメージで柔らかくしていくパフォーマンスです。心と体の瞬間リラックスです。

ゴキブリ体操・・・仰向けで両手、両足を上にあげ「ア〜」と発声しながらストップされた心のしこりも、一気にほどこうというイメージで行えば、頭も心も体もスッキリとなります。

まわり立ち・・・しなやかに小エネルギーで立ちあがれば、また次の動きにスムーズにパワフルに移行できます。

Kさんは、G君の心と体の成長にどうしたらボディートークが活かせるかな、と日々楽しみながら工夫していっています。今、G君は全速力でダッシュして「ドーン」と人に ぶつかっていくことが快感になってきました。その動きが大好きです。さてこんな時、 どんなアドバイスをしながらその子の心と体を育てていけばいいのでしょうか?

それはまた、次回、お話することにいたしましょう。
月例会でも、人間関係法のパフォーマンスのプログラムを、更に工夫して紹介されていきます。

≪ 動きと心の関係≫に気付くだけでも、自分や周囲の人の関係がスムーズになっていくかもし れませんよ。 どうぞ楽しみにご参加下さい。




ホラ見て、僕できるようになったよ(赤ちゃんの泣き声をよく聞いてみて)      

♪ なの花畑に 入り日 うすれ
    見わたす 山の端 かすみ深し ♪

あけまして おめでとうございます

新たなスタートの年として新鮮な気持ちで迎えています。心はもう春めいて、ボディートークの花の蕾があちこちで膨らみ、喜びが湧いてウキウキしています。ボディートークの内容が、よりわかりやすく、より深く、より豊かなものになっている感覚があるからです。

例えば、東京での自然発声法もコーラスで≪おぼろ月夜≫を歌い始めると、 自分の体が、淡いおぼろ月の光や、菜の花の匂いに包まれ、かすかに響くお寺の鐘も聞こえてきてうっとり…、という感覚になれます。

一瞬にして心・体・頭を スッキリ、ふんわりまとめることができる≪ボディーメッセージ≫も月例会に 通っている人なら当然の事のように誰もがすぐに出せるようになり、ボディートークベイビーも去年ぐらいから全国で次々と誕生。三世代に渡ってボディートークが、生活の中で当たり前にある家族も増えてきて、嬉し い限りです。

● ママと一緒に毎月参加してるよ

ボディートークで子育てされているママの、嬉しい報告をさせていただこうと思います。

名古屋のK君はママのお腹の中にいる時から月例会に参加しています。
毎月、朝9時からの≪赤ちゃんのための歌≫のプライベート・レッスンから始ま
ります。その後の基礎講座、昼食もテーブルを囲んで参加メンバーと仲良く済ませます。

午後からは朗読講座を、3時までママと一緒に受講しています。去年の11月で 1才になり、伝い歩きもずいぶん上手になりました。穏やかで物事を深い息で 捉えることのできる集中力のある落ち着いたK君です。

● すぐに泣き出すK君

普段は一日中ママと二人っきりで過ごしているK君ですから、ちょっとでも ママが離れるとすぐに泣き出します。するとママは大慌てで走ってきて「K君。 ゴメンネ、ゴメンネ」と言いながらすぐさま抱き上げます。

≪赤ちゃんを泣か せてはいけない。赤ちゃんを泣かせては可哀そう≫と思っているからです。そこで私は質問しました。「泣き声をよーく聞いてみて~。急いで抱っこしなければ、いけない泣き方かな?それとも少しくらい泣いても大丈夫な声なのかな?」

ママは少し困った様子です。泣き出すといつもすぐにママが飛んできて抱っこするので、K君は自分から「ママ抱っこして!」と手を伸ばすことも、自分でハイハイしていって、ママのところへ動いていくチャンスは、ほとんどありません。

● ちょっと待ってみよう

「K君が泣いてもすぐに抱っこしないで、 ちょっと待ってみては?」ママはK君が 手を伸ばせば届くくらいの所から近寄って「『ホラ、ママはここにいるよ、ここにおいで』ってK君へ手を差し伸べ ながら言ってみて?」「最初は泣くけど根気よく『K君、さぁ~おいで!!』 って諦めず、やさしく暖かい声で呼び続けてごらんなさい?」

するとどうでしょう。しばらくするとK君は泣きながらもハイハイをして、 ママの手のところまで動いて来たのです。そしてしっかりママの手を掴みました。もうママは涙でいっぱいです。

● できたら、いっぱい褒めてあげましょう

「『すご~い!やったねぇ~!K君えらかったね! できたねぇ、ママの所まで来れたねぇ~!!』っていっぱい褒めながら抱っこしてあげましょうね。」K 君を待っている間は、ママはもう泣き出さんばかりの悲しい顔をしていましたが、大成功です。

K君は自分の力で出来たのです。私の方をチラッと見ているK君 に「できたねぇ~!」と手をパチパチたたきながら褒めるとK君はニコッ。そしてお尻をフリフリ、自分でもア~と声をあげながら拍手し始めました。「そうそうその調子、出来るようになって良かったね。ママもよく頑張ったねぇ~」と言うとK君もママもニコニコ。

セミナーを受講している6時間の間に、こういう場面は何回かありましたが、その度に、諦めずに「さあ、おいで」「よくできたね~」を繰り返しました。すると、もう帰る頃にはすっかり≪K君の力を信じ、K君が自分でできる≫という自信を育てていけるママへと成長していました。K君も沢山褒められ「ホラ、見て。僕、やれるようになったよ」と誇らしく、ご満足の表情です。

● 親を奴隷にしてしまう

「良かったなぁ~」と、私もひと安心。何故ならこのステップをクリアしないで成長していくと、いずれ子どもは親を奴隷化して「自分の言うことはなんでも聞 いてくれるのが母親」という方程式が脳に刻み込まれていくからです。

母親を奴隷にしながら、自分の望むもの、望むことを自分の努力なしにホイホイと手にすることができる体験を繰り返していく子ども達。そしてその子どもがそのまま思春期を迎えると、もうどうにも手がつけられない状況へと移行してしま うのです。

全てを親のせいにする、子どもへと成長していってしまうのです。

以前にも書きましたが、野生に生きる動物の鉄則≪自分のエサは自分の努力で得る≫ことはとても大切なことです。そして人間にとっては“自分の望むものは自分で行動し、努力しゲットするもの≫この喜びが、自分の生きる力を高めていくのです。

K君とママの今日の笑顔は、この喜びに満たされた心地よいものだったことでしょう。良かったねK君。