ボディートークコラム

生きる力を育てるチャンス

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● トマト美味しいね

今日は、トマト嫌いな子が好きになるというお話から始めましょう。かつ て私が勤務していた短大で保育学科を増設し、そこに音楽コース・英語コース・園芸コースを開設することになりました。

学長とともに出かけた文部科学省に、新設のための説明会で、「何故、園芸コースを置くのですか?」と質問さ れました。私は「子どもが土に触れ、植物を育てていく中で≪生命の在り方≫を喜びや感動とともに自然と学んでいけるから」でした。

園芸コースに入学した学生達は、まず土作りを教わり、トマトの苗を植え、
トマトの成長を待ちました。そして太陽の光をいっぱい浴びて真っ赤に熟したトマトを口にした学生達は、「あ~、美味しい。こんな美味しいトマト食べたことない!」と、皆飛び上がるように感動し喜びあっていたのです。

きっと生まれて初めて自分で作ったトマトの味は、格別だったのでしょうね。
やがて、その学生達が就職した保育園では園児達が、彼女らが学生時代にそうであったように大切にトマトを育て、それを給食で食べているそうです。

するとトマト嫌いだった子も、トマト大好きな子に変身していくという、嬉しい 報告が入り始めたのです。子ども達は毎朝、園に来ると、一目散に走っていくのが自分の植えたトマトのところ。毎日毎日、「早く大きくならないかな~。実がつかないかな~」と、楽しみながらお世話をしていくのです。

● 木を見つめる心

≪自分が時間をかけ心を込め関わっていくと、関わったものが恋しく、大切なものとなっていく≫手間暇かけ、気長に見守り続けることを、日本語では 『想い』という言葉で表わしているそうですが・・・(木が大きくなるには随分と長い年月がかかります。年輪がいくつも刻み込まれて木の成長を見守り続ける。心をいれると『想』という字になりますね)

自分の体を通しての想いが加わると、嫌いなトマトが大好きなトマトになって いくという体験をした子ども達は心にとって大切なもの。トマトと一緒に自分を育てていたのですね。

● オッパイ探せたよ!!

トマト作りのように、人間は自分の食べ物を栽培した り養殖したりする知恵を持っていますが、野生の動物達はエサは自分で動き探 し回って、ようやく得ることができるのです。ですから動けなくなることはエサを探すことが出来なくなることであり、すぐさま死と直結していきます。

動物も人間の赤ちゃんも、生まれるとすぐに自分で動いて、自分が生きていく食べ 物であるお母さんのオッパイを探そうとします。自ら(ミズカラ)エサを探す、これは動物の本能であり、生きていく力のベースです。でもたいていのお母さんは、抱っこしている赤ちゃんの口の中に、お母さんが乳首を持っていらっしゃいます。

赤ちゃんが早くオッパイを飲めるように、準備してあげるのもいいかも知れませんが・・・。実は授乳の時、ちょっとした工夫 で赤ちゃんの自分で生きていこうとする力がグーンと育っていくのです。

≪生きていく力をアップする授乳方≫

少しだけオッパイを赤ちゃんの口元から離して置きます。そして赤ちゃんが手を伸ばしたり、顔を動かしながら、自分でお母さんの乳首に吸い付いていくようにしてあげるのです。赤ちゃんが「ヤッタ! 自分でオッパイを探し当てたぞ!」と喜ぶチャンスを作ってあげるのです。

1 お腹を空かせて赤ちゃんが泣き始めます。

2 お母さんは、「エライネ~お腹空いたって言えたネェ~」と一回ごとに一 一緒に喜んであげます。

3 オッパイを口元の傍のところへ持っていきます。

4 赤ちゃんがオッパイを探し当て、自分で口に含み飲み始めます。

5 そこで「スゴイネェ!! よく自分で探せたネェ、エライネェ~!」と一回
ごとに一緒に喜んであげます。 その度に赤ちゃんは、自分で望むものを自分の努力で得られた充実感に満たされていくのです。こうやって幾度となく繰り返される毎日のこの行為の中から自ら生きていく力が育ち、親子の絆も強くなっていくのです。

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