かたくなに自分の意見を押し通そうとするガンコな人。そういう人は姿勢を見るだけでガンコだと分かる。いったい体のどこに?実は首に現われる。ガンコな人は首筋を硬直させている。
皆さんも自分の体でちょっと試してみましょう。首を後方へグッーと引いて首筋を固くする。すると自然に下アゴにも力が入る。眼筋も心なしかこわばって目つきが険しくなる。これがガンコ首である。この姿勢で「ン?」と言ってみると、固くて押しつけがましい声になる。この声で「ナニ言ってんだ、おまえは俺の言うことが聞けないのか!」と怒鳴ってみると、ガンガン、キンキン、コンクリートの塊をぶつけるような声になってしまう。だからガンコな人は電話だけでもバレてしまう。
ガンコは何故、首に現われるか。その理由はこうだ。私たちは考え事をするときには頭を固定する。前頭葉をフラつかせると、思考が進まないからだ。頭を固定させるには首の上部を固くしなければならない。四六時中、考え事をしていると当然首筋全体が硬直してくる。
硬直した首は容易に動かないから、この首が逆に考え方を固定してしまう。ガンコ首が石頭多いと、前回で述べたように怒りのしこりは背中の中央に出る。慢性的な怒りは背中全体を固くするから、体がやがて石のようにコチコチになる。だから石頭の人は「石体」になる。
ところで体が固いとか柔らかいとは、どうやって判断するのか。「最近、体が固くなってるねえ」と嘆いてる人に「固くなったとどうしてわかるのか」と尋ねてみると、「前屈しても手が床に届かなくなったし、足ももっと開いたんだがなあ」と答えがちである。前屈や開脚の出来具合が判断の基準になっている。それではお餅の軟らかさはどのようにして調べるか。
これは触ってみればたちまちわかる。人間の体も同様である。触って柔らかければ柔らかいし、固ければ固いのである。「アレッ、固いな」と感じられれば体は固いのである。太っていて、見た目にはポチャッとしていても精神的な悩みが深かったり、責任の重い仕事が続いて過労であったりすると、コチコチになっている。だから前屈や開脚ができても、実際は体の固い人はいっぱいいるのだ。
人間にとって大切な体の柔らかさとは中身のことである。筋肉が柔らかくて弾力性があり、血液や体液の流れがいいということが大事なことなのだ。ちなみに、犬は前屈や開脚はしない。しかし体を柔らかくする努力は絶えずしている。胴ぶるいや伸びがそれである。
話を元に戻そう。ガンコ首が石頭を産み、石頭が石体を作ってしまうのなら、私たちは「柔らか頭」を保つためには何をすればいいのか。小さな声で「アー」と発声しながら、首をゆっくりまわせばいい。そうすると首の上部と後頭部との接合部分が固くなっているのに気づくだろう。考えが堂々巡りをしていたり、壁にぶつかって先へ進めないような時は、特に固くなっていて痛みを感じるはずだ。
そんな時は、片手でその部分をトントンとたたいてやる。やはり「アー」と発声することが大事だ。声を出せば、振動が頭へまんべんなくいきわたるし、その振動を外へ逃がして、しこりを無理なく除くことが出来る。
頭が固くなったと思ったら「アー」と言いながら首をまわして後頭部をトントン。これが「柔らか頭」のためのボディートークである。
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