ポカポカ スクリーン完成
オフロの中で赤ちゃんになろう
♪ いい~湯だなぁ~ いい〜湯だなぁ~ ♪
と鼻歌が出てきそうになるのは、寒い冬の日、体の芯まで冷え切って帰宅し、 お湯をいっぱいに張って、湯船に入った時。 ほーっとするその心地よさは何と も言えませんね。 そんな時、「 あ一日本人に生まれてよかった」と思われませんか? 世界の中でも日本のように水が豊富で、毎日オフロに入れる国なんて、 そうそうありません。
湯船に入った時の私たちの姿勢は、赤ちゃんがお母さんのお腹にいた時の姿勢にそっくりです。ですから「毎日、羊水の中の赤ちゃんに戻れている?」 時間がある日本人には、おだやかで優しい心が育ちやすいのかも知れません。
私がかつて New York で毎年数か月を過ごしていた頃、ホテルの浴槽に浸かるのが怖くて、 (New York ではエイズ患者がウヨウヨですから、何となく気持ち悪くて)シャワーだけにしていました。
一日中大好きな踊りを踊って過ごせて充実していたのですが、どことなく心淋しさがあり、それが何故なのか分かりませんでした。 そして帰国して、自宅のおフロに入った時、「あ~幸せ!」 と心の奥から嬉しい気持ちが涌いてきて、「あ~、 これだったんだ、 私の淋しさは」と分かったのです。
あたたかいお湯に包まれての安心感がこんなにも大きいとは思いもよらな い事でした。
* 羊水感覚の環境づくりーふんわりと繊細に
エンゼルハンズのセミナーでは、 「羊水感覚の環境の中で、 生命は育まれる」という視点で五感を磨き、心と体をふんわりと育んでいこうというプログラムがいくつもありますが、これは特に赤ちゃんや生命が繊細になっている人 たちと接する時には、大いに役に立つものです。
でもそんなことを、ことさらに言わなくても、すでに無意識レベルで五感が磨かれていく自然環境や生活習慣が、日本にはたくさんあるのはありがたいことです。
例えば≪触感≫ひとつとっても、入浴の習慣や素足で畳というやわらかい 床の上で寝起きすることなども、他の国に比べるとより繊細な感覚が育ちやす い環境と言えますね。 せっかくですから自分の持っている感性に磨きをかけて いってみたらいかがでしょう?
服の素材や色を選ぶ時、 ≪おだやかな心を育てるには、どんなものがふさわしいのかな? ≫ って、 ちょっと意識するだけでも、羊水感覚の感性が身についていくかも知れません。
* スクリーン完成
明先生がミニ・ミュージカル 「月からきたうさぎ」の舞台背景としてのスクリーンについて述べていらっしゃいましたが、 遂にその スクリーンが完成しました。 巾10m、高さ2m50cmのオフホワイト (淡い乳白色)の綿素材の布の真ん中に、1000年生き続けた大きなブナの木が、 緑色の葉っぱをいっぱいつけて立っています。 それを囲むように、さわやかな 色とりどりの木々たちが立ち並ぶ森です。
このスクリーンを始めに見たのは、2月の宿泊セミナーでした。 会場にスク リーンが立体的に広げられると、「ウァ~!」と私は思わず声をあげてしまい ました。「何てあったかくて、やさしい森なんでしょう!!」 よく見ると木の葉の1枚1枚が、一針一針縫われています。 布地にペインティングしただけで なく、とても手のかかった作品です。
この物語の後半で、ブナの老木は自分の生命の限りを尽くして風を起こし、 人間から殺されそうになる金の小うさぎを月へ帰してやり、死んでいきます。 力を使い果たし枯れていくシーンは、ブナの木 の布がスクリーンから上手くはずされ、下へ落ちていくよう工夫されています。
悲しむ森の仲間たち。 (森のうさぎ、オオカミ、キツネ、シカ、 鳥、木の精)
でもその枯れた木のすぐ傍には、 新しいブナ の小さな若い芽が吹き出し、 スクスクと伸び始めています。
この感動シーンは、卵色の布に画かれたグリーンの若葉が少しずつ上へ伸びて行くように仕掛けがしてあります。 布地の持つ独特のやわらかさが、このストーリーのイメージを更に膨らませていきます。 (秋の風景、 月の光、雪のシーン、 大風が舞うシーンには、セミの羽のように透明でやわらかい5mの色ゴースが風に揺れ動きます)
≪ポカポカスクリーン≫
このスクリーンのアイディアは、もちろん明先生。 そして制作は、去年、 ミュージカルアラビアン・ナイトでかわいい赤ちゃんラクダを作って下さっ た、岩井るり子さんです。 他にも、ボディートーク協会の長岡さんや、 娘のちえちゃんや、ボデートークの仲間たちが一緒になって、一針一針縫いながら出来上がったものです。 そして岩井さんも長岡さん (一月に初孫誕生)も、目の中に入れても痛くないお孫さんが生まれられてからの作品です。
親、子、孫と三代に渡ってボディートークが受け継がれている仲間たちで、作成されたこのスクリーンを背にすると、どことなく背中がほんのりポカポカ してきて、体中があたたかく包まれていく感覚になります。
まるでおフロの 中に入っている様です。 そして私はふっとこんなことを思いました。一昔前までは、うまれてくる赤ちゃんの産着やおしめは、母親やおばあちゃんが一針一針、 その誕生を待ち願い縫ったもの。 貧しい時代だったけれど、私もそういうあたたかい想いに包まれ、 生まれ、育てられたのだと。 だから今 の私があるんだなぁ~って・・・。
手のぬくもりが添えられ、 熱い想いで生命のあたたかさを伝えていくって 素敵だなって。 (今は産着もおしめも市販のものが使われています が…)
いよいよ本番間近が、 広島の庄原の500名の園児たちが、この≪ボディ トークの森のスクリーン≫に包まれ、 どんな心を膨らませてくれるでしょ う。ワクワク、ドキドキです。
そしてこの、「月からきたうさぎ」のミュージカルを、 1月29日、100 才で天国に召されていかれた、 増田明先生のお母様 (増田美和様)に、心か ら感謝を込め、 捧げながら、演じさせていただきました。