たんぽぽの綿毛がそよ風に舞う
* たんぽぽの綿毛が風に舞う
「アッ!見つけた!」と近寄り、 そっと手に取ったとたん、あっという間に フウァッフウァッ と、たんぽぽの綿毛が風に舞い始めました。 何だか嬉しくなって、両手を舞い飛ぶその綿毛にかざしながら、 私はいつの間にか春の野を走っていました。
こうして無心に遊んだ幼い日。今もふんわりとした感覚が、 思い出とともに体によみがえってきます。
≪ふんわり ≫ のイメージは
人それぞれでしょうが、 太陽にたっぷり干したフカフカの お布団とその匂い、 祭りばやしを聞きながら口いっぱいに頬張ったフカフカの綿菓子など、どれもイメージするだけで心がほんわと和むものが多いですね。
≪おばあちゃんの手はイヤ?≫
最近、私の知人達から次々に「初孫誕生」のニュースが報告されます。特に初孫ともなれば、 可愛さ余って“さぁ~、これからいよいよボディートークの赤ちゃんほぐしの出番” と張り切ってしまうのは、当たり前のことなのでしょうが…
「抱っこしている時はニコニコしているのに、 ちょっと体ほぐしをしてみようと背骨に触れると、 イヤッ! と言わんばかりに、 すぐに私の手を払いのけようとするのよ。とってもやさしく、ふんわりと触れているはずなのに・・・ と、悲しそうな新米おばあちゃんのK子さん。
「それはね。 その時、赤ちゃん の背中がどうなっているか知りたい、 探りたいという気持ちばかりが強く働きすぎていたからじゃないのかな?」と尋ねると、「うーん、確かにその通りか も?・・・」との答え。
「でも、どうすればいいの?」と悩んでいるK子さんに、≪赤ちゃんを抱く手≫の5つのパフォーマンスのうちの一つ、 〈包む手〉の ご紹介をしてみました。
《赤ちゃんを抱く手包む手》
1 二人組になります。 Aは赤ちゃん役、 Bはお母さん役です。
2 Bは両手をしっかりとすり合わせ、暖かい手をつくります。
3 BはAの左横に座り、 自分のオヘソをAの体側に直角方向に向けます。
4 Bは暖かくした左手を、Aのウムネ(おっぱいの少し上のところ)にそ っと当てます。 右手は、左肩甲骨に触れます。 Aの体全体を両手ですっ ぽりとやわらかく包み込むようなイメージで、軽くAの体をゆすりなが ら暖めていきます。
実験 その1
BはAを〈私がいるから大丈夫。 しっかり包んであげる よ〉というイメージで暖め、 ゆすります。
実験 その2
Bは、今度は赤ちゃん役になったつもりで、〈お母さん、 大好き~〉と、 赤ちゃんがお母さんにたっぷりと甘えるようなイメージで、自分の体をAに寄り添わせながら、Aの ウムネと肩甲骨を包み、 暖め、 ゆすります。
5 1~4までを、 A B 交代して行います。
結果
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実験その1 その2 を比較すると、その2の方がやわらかく、 暖かく、ふんわりと体全体が包まれた感じがします。たんぽぽの綿毛をゆらす風のように、このパフォーマンスを体験すると、❝やってあげる❞というイメージを持つ だけで、時としては、相手に圧迫感を与える強さとなって伝わっていることもあることが、お分かりになられると思います。
反対に、 赤ちゃんが無心にお母さんに甘えて抱っこされる時、抱いているお母さんは、 実は赤ちゃんから、あ ったかいふんわり感覚をもらっているのだ、ということにもお気づきになられるはずです。赤ちゃんの心や体は、大人より更にやわらかで、繊細で、敏感なセンサーが働いています。ですから、さり気ない≪たんぽぽの綿毛をゆする春 風のような≫タッチが、 赤ちゃんは大好きなのです。
♪ 誰が風を 見たでしょう 私もあなた も見やしない
けれど木の景をふるわせて 風は通りすぎてゆく ♪
と、この歌にもあるように、色も形も見えないけれど、 いつもそっと傍にいて、 やわらかく心を受け止め、 包み、ともに共鳴してくれる風のような存在。 そん な風のような存在に変身できれば、赤ちゃんとのお付き合いも、よりスムーズ になっていきます。
その第一歩として、今日からまず 「フウァ~ッ」といいながら、春の風のように歩くこと、 動くことから始めてみられたらいかがでしょう。 そして、その風の手で赤ちゃんの背中に触れてみて下さい。 きっと赤ちゃんは、これまでに 見たこともないような幸せなほほえみをあなたに見せてくれるはずですよ