アメリカでリスに噛まれた?!
人さし指が臭っ白に
アメリカン・ダンスセラピー年次大会に参加したときの事です。 11月初旬のフィラデルフィアは急に冷えこんだのか紅葉が鮮やかで、整然と区画された街並みに落葉がたくさん舞い、 晩秋の深い色わいでした。 ボディートークの講演もおかげ様で大好評で、これからアメリカでも着実に広がる気配です。
講演をする日の朝に、日本から共に参加したAさんにハプニングが起きました。 リスに指を噛まれたのです。野生の小動物の牙には、どんな雑菌が付いているかわかりません。 まして外国の地です。 日本で得ている体内の免疫では役に立たないこともあるのです。
以下はその顛末です。フィラデルフィアの公園には、木の一本一本にリスが住んでいます。とても人に馴れていて、 パンやお菓子を手に持っていると、遠くからでもピョンピョンと跳びはねてやってきます。 そして小っちゃな手を胸に当てて、おねだりをします。
あまりの可愛い仕草にAさんは少しずっちぎっては口先へ与えていました。
ところが数回与えるうちに、リスも大胆になったのか一度にたくさん奪おうと
ばかりにバンを持っている指先も一緒にかじったのです。 反射的にAさんは手
を振りました。
リスはその反動で宙に舞いました。指先には歯型が2つ付いていて血がにじんでいます。 ホテルに戻ってすぐに水洗いをしました。 痛みもなく腫れもこないので、何も処置をしないでしばらく様子を見ようということになりました。 後で気付いたのですが、その直後に口で毒を少しでも吸い出しておけばよかったと思いました。
その後、Aさんはボーカル・ダンスの発表をしましたので、傷のことはすっかり忘れていましたが、 夜になって指先が少し痛み始めました。 そして翌朝になると指先はしっかりと腫れ、痛みも強くなりました。そして昼には全身がだるく重くなり、レクチャーも聞けず、ベッドに寝込むことになりました。 微熱と頭痛と吐き気です
この時点で、私はAさんの体ほぐしをしました。 背骨を揺すると見事に胸椎9番 にヒリッと痛みが走ります。 これは「しまった」という後悔の気持ちの表れてす。 もちろん「あきらめ切れない焦りの下腹部を固めています。 薬を使うこともチラッと頭をかすめましたが、自力で何とかなりそうに感じましたし、Aさんもここ は免疫力をつけようと決心した様子なので、 安静にして症状の経過を見ることにし ました。
夕方になると、痛みは手のひらから全身に広がり、 特に首や脇下のリンパ節が激 しく痛みます。 そしてシビレか身体中に次々と移動していきました。 水分も食物も一切受けつけられず、すべてのエネルギーが菌と戦っていると感じたそうです。
夜には噛まれた指全体が真っ白になったので、指でこすって神経をほぐしたり、 ベッドの中でモゾモゾと動く動きで、痛みを逃したりしているうちに、急にストンと憑き物が落ちたように体が楽になったと言います。 ピークが過ぎたのです。
一眠りして起きてみると、 指先に少し腫れと痛みが残っている ものの気分はスッキリとし、 食欲が出てきました。
こうしてAさんの体にはアメリカのリスに対する免疫力が出来たと考えられます。 免疫とは、ご存知のように外部から侵入した毒素に対して、リンパ球と白血球が退治してくれ、一度退治した毒素はリンパ球が記憶し、次に同じ毒素が侵入しても直ちに防御してくれるので発病しないという自然治癒力です。
私たちは生まれてこの方、 経験をした無数の雑菌の毒素に対して免疫力をつけているのですが、 発病に際して自然治癒力を発揮させないで抗生物質などに頼り過ぎていると、O-157のような弱い菌にも太刀打ちできないで、免疫力低下から 生命を落とすところまで行ってしまうのです。
今回のハプニングで貴重な気付きがいくつかありました。