赤ちゃんの心はどうしてわかるの?
新幹線に乗っていると、どこからか赤ちゃんの泣く声が聞こえてきます。「あぁ~あれは暑いと言ってるね。ちょっと洋服、着せすぎじゃない?」「あぁ~ あれは怒ってるね」とか、増田先生はすぐに赤ちゃんのことを声で聞き分けられます。ボディートークを習い始めた最初の頃は、どうしてそんなことが声で分かる の?と、不思議でたまりませんでした。
私がボディートークに出会って 20 年近くになりますが、気付くといつの間にか、私も赤ちゃんの声の中に心を聞くこ とができるようになっていました。「声は体と心をつなぐかけ橋」であること。声 で、息で、相手の心が分かること。これは、ボディートークの大きな魅力の一つで す。
今回は、赤ちゃんの心を声で分かるようになるコツについて、お話してみまし ょう。
待ちに待った、初めての赤ちゃん。でも、生まれてみると泣いてばかりで「あぁ、 どうしたらいいの? 何を言ってるのか分からない~」と困っている、新米ママとパパ大丈夫ですよ。最初は誰もがみんなそうだったのですから・・・。
どうしてあげたらいいのかしら?「おっぱい?」「おしっこ?」と、一つ一つ試しながら、 少しずつ赤ちゃんのことが分かっていくのです。
【赤ちゃんの心を知るレッスン 1】
ちょっと余裕が出来たら、赤ちゃんが泣き出した時、なるべく赤ちゃんと 同じ声で、同じ表情をして、同じ動きをしながら、一緒に泣いてみましょう。なる べくそっくりになるように。声のレベルも同じにしてみて下さいね。
そうやって何度も赤ちゃんの真似っこを練習しているうちに、「あぁ、この声は、お腹が空いた 時の声だな」「あぁ、この声は怒っている時の声だな」と、分かってくるようにな ってきますよ。赤ちゃんの《心》を知っていく方法が身についてくると、これからの子育ての中でとても役立つことが多いのです。
つまり、《子どもの心を通して、 分かってあげられる、パパ・ママ》になれるのです。素敵だと思いませんか?
【赤ちゃんの心を知るレッスン 2】
赤ちゃんの心を知るレッスンを、もう少しレベルアップしていくには
まず、ボディートークの一人ほぐし、自然体運動、二人ほぐしで、しこりやゆがみをせっせと取り除いていきましょう。そして、素直でクセのない、赤ちゃんのような体づ くりを目指しましょう。(粘土で何かを作る時、まずやわらかくして、何の形にでもなれるようにするでしょ、あれも同じことです)
【赤ちゃんの心を知るレッスン3】
では、いよいよ、自分の体を変え、《悲しみの感性と声》を作っていくレッスン です。 (※ミュージカルの、悲しみの場面の練習にも有効です)
1 自分の両手を、両脇下のところへ置きます。
2 その両手を、両脇から胸の中心(胸椎3,4番のところ)に向かって、グッ、
グッ、グッと少しずつ締めていきます。
3 胸が締め付けられて苦しくなり息が詰まってきます。
4 グッと押すごとに、「ア、ア、ア、ア」と声を出してみましょう。 .
5 今度は、1~4のスピードを少しあげて、一気に押し続けながら、泣き声に
変えていってみて下さい。
6 その動きをしながら、「悲しい、悲しい」と 思い、悲しみのイメージを加えていくと、泣く体になり、声になり、今度は切なさや悲しみが、内から湧いてくるようになります。
どうですか、涙が出て泣けましたか?この時の泣き声が《悲しみの声》です。
ところが、赤ちゃんは、怒っている時にも、お腹が空いている時にも泣きますね。 他にも自分の欲求が満たされないと、それを泣くことで相手に伝えようとします 。では怒っている時やお腹が空いた時の体はどうなっているのでしょうね。
関心のある方は是非、『ボディートーク入門』(創元社)の「心の働きは体に正確に表れる」の章を参考に、色々と練習をしてみて下さい。
実は私もそうやって、赤ちゃんとお話してみたいと強く願い、その声(息)と体の在り方に感動し関心を持ち、ただひたすら、せっせと練習し続けたのです。 するといつの間にか、赤ちゃんの声と心が分かるようになったのです。
最後に、赤ちゃんは体を楽にしようとして泣くこともあります。例えば、眠る前 に泣くことで、体を温め、ほぐし、眠りやすい体にしているのです。ですから、新 米ママも時々は、「もう、分からないよ~ 出来ないよ~」と、オーバーワークになった自分の心や体のために、赤ちゃんのように泣いてみてはいかがでしょう。そ して、泣きながら「よく頑張っているね」と、自分を誉めてあげて下さい。息がほぐれ、子育てがきっと楽になっていくと思いますよ。