星の時間
●夏の夜空を見つめながら
ふと見上げた真夏の夜空。そこに輝く満天の星たち。両手を大きく広げて、 息を胸いっぱいに吸って・・・しばらくじっと見つめていました。懐かしい思い 出がいくつも蘇ってきます。
三才頃の思い出です。夕暮れの明かりの中で、丸い飯台を囲み汗をブルブ ルかきながら夕食を済ませ、おフロからあがると、大きな縁台に寝ゴザを敷い て浴衣で寝そべります。その頃にはもう空には星が瞬いています。蚊取り 線香と夏草のかすかな匂い。リーン、リーンと風鈴の音。添い寝をしてくれて いる祖母が、ウチワでゆったりと扇ぎ続けてくれる心地よい風に当たりながら 星空を眺めているうちに、いつの間にか夢の中。
ぐっすり眠ってから、抱っこして運んでくれたのでしょう。朝、目を覚ますとカヤの中のおフトンにいるのです。毎日こうして大事に育ててもらったのだなと、今は亡き祖父と祖母に感謝しています。
冷蔵庫のなかった頃ですから、食べ物一つ一つを慎重に嗅ぎ分けて口に入れないことには、子ども達はあっという間に赤痢や食中毒になってしまうという 時代でした。一人の赤ちゃんが元気に育ちあがるまでには、今と比べると比較にならないほどの《山ほどの手間ひま》が必要だったと思われます。
●今日も一日よく頑張ったね!
《忙しい》という文字は《心を亡くす》と書きますが「昔のようにのんびりとまではいかなくても、せめて一日の終わりに『今日も一日よく頑張ったね え~』と自分を褒めてあげて下さいね」と、ボディートーク・子育てマタニテ ィセミナーでお勧めしているのは、少しでも自分の心や体を見つめなおす時間を持って頂きたいからなのです。「だって、そんなに頑張っていないもの」という方には、「オシッコ出ているでしょ?食事もできているでしょ? 歩けているでしょ?あなたは、そんなこと当たり前で何も頑張っていないと思っていらっしゃるかも知れませんが、体は懸命に働いてくれていますよ。だから 褒めてあげて下さいね」と言うことにしています。自分の生命の営みに、一日 一回「ありがとう!」って感謝する時間にして欲しいと思うからです。これが Body-Talk time です。
●モモと時間どろぼう
さて、今年の福岡のミュージカルは、”モモと時間どろぼう”です。ミヒャ エル・エンデ『モモ』の原作を分かりやすく子供向けに、増田先生が脚色されたものです。生命を大切にする感性を磨くボディートークのミュージカル作 品として、是非、赤ちゃん役を登場させて欲しいという私の夢が今回叶いました。
ゆったりとした時間をたっぷり持っている女の子モモと、ベッポじいさん。 そして時間どろぼうから時間を盗まれ、心を失っていく町の人たちとのストーリーが展開されていくミュージカルです。ラストシーンは、モモとカメの力で町の人の心が戻り、喜びの中に赤ちゃんの産声が聞こえてきます。そして 町の人たちの暖かい歌声が、子守唄のようにやさしく夜空に響き渡るのです。
Schu
♪空いっぱいの星たち 光ときめき響きあい 生命ひとつ生まれるそれが星の時間さ
「わかったわ 生命のすべてが」 星から生まれて 心はひとつにつながる~♪
keshte
これとい
♪生命ひとつ 生まれる~♪
と歌っていると、何故か 私は、そこで一緒に歌っている仲間たちの一人一人の 生まれた時のことが、次から次へと想像されていくのです。
何もなかったところに一つの生命が奇跡のように誕生し、 やがていつの日か、その一つの生命は必ず消えていく生命の神秘。神秘だからこそ、一つ一つが星のように輝けるのかもしれませんね。私の星の時間、大切に生きていこうと思います。