「生きることにマメ」シリーズ 元気になるためにチョットした工夫③
湯船の発声 ・ 階段の上り下りは数を唱えて ・とろけ寝で一瞬にして全身のリラックスを
慌ただしい生活の中でもちょっと心がけて、頭も含めた全身のしなやかさを得るのがマメシリーズです。いわば瞬時に体や心や頭の掃除をする知恵と思っていただいてもいいでしょう。このチョットした工夫の数々を身につけると疲れも早くとれますし、息もさわやかになるでしょう。やがては、「さわやかに生きるためのチョットした工夫」(仮題)として、小さなパンフレットにまとめたいと考えています。
●湯船の発声
朝、お風呂にゆったりとつかります。お湯のあたたかさがジワァと全身に伝わり、思わず「m~」とハミングしてしまいます。すると首から下がお湯にすっぽり包まれた中で「ムゥ~」と牛の声を響かせます。風呂場ですからエコー効果もあって、あまりの気持ち良さに耳を蓋して頭ごと湯につかります。全身が丸まって体中が響きますから、これこそ全身呼吸による全身発声です。こんな姿をみたら荘子はどのように言うだろう、と内心ほくそ笑んでいます。好きな歌をフルコースで2曲歌えば、およそ5ないし6分です。私の朝は湯船の中の心地良さで始まりますから、この習慣は一生続きそうです。念のために申し上げますが、歌声に熱中するあまり長時間の入浴は湯あたりになる恐れがありますからご用心下さい。
●階段の上り下りは数を唱えて
階段で足を踏みはずしてケガをした、という話はよく聞きます。どうして踏みはずしたの?―考え事をしていたのでしょうかという答えが返ってきます。これは頭の神経が足を動かす神経とつながらなかったからです。こんな失敗をしないために数を唱えることにしたのです。階段の数はいくつあってもよろしい。大事な事は上り下りする瞬間に一歩一歩数えると脳の神経が足の動きと一致する、ということなのです。
私はマンションの1階に住んでいて、2階がレッスン室です。夜、暗い中でも階段の上り下りをしますが、必ず階段は数を唱えています。特に下りる時が危ないのです。外の灯りを眺めていたり、他のことを考えたりしていると、踏みはずす可能性が大なのです。呪文の如く数を唱えながら上り下りすると、余分なことに気を捉われることがないのです。
●とろけ寝で一瞬にして全身のリラックスを
もし俳優の演技テストをするチャンスがあれば出してみたい問題があります。問題「仰向けに寝て下さい。失神する場合と腰を抜かす場合の二例を演じ分けて下さい」
仰向けに寝てもらうのは身の安全を保障する為です。失神は脳の神経がストップするので、頭から足の先まで順に気を抜いていきます。腰抜けは腰を保つ力が突然なくなって、胴や手足の感覚が遠のくにもかかわらず、目や耳や思考能力の神経は働いているという矛盾の状態です。体と心、さらには頭の働きを客観的に理解していれば出来る問題です。ところが意識的に全身をリラックスする方法は難しいですね。酒の力を借りるというのは時間もかかるしお金も要ります。気楽なおしゃべりをしたり居心地のいい環境でのんびり過ごすと言う方法もありますが、これには時間がかかります。そこで一瞬にして全身のリラックスを行う方法をご紹介しましょう。ボディートークの自然体運動である「とろけ寝」です。
【とろけ寝の方法】
立った姿勢から「トロトロトロ~」と言いながら下半身から上半身へ向けて順々に力を抜いていきます。そして仰向けに寝てしまうのですが、「とろけ寝」の方法と全身のリラックスは意識で確かめてください。すなわち、首の力が抜けているかどうか、肩や胸は力んでいないかどうか、腹部や腰部はしっとりと床におりているかどうか、腕や脚部などな無意識に力を入れていることが多いので、とくに注意深くリラックスの感覚を確かめて下さい。仕上げに手や足の指先まで脱力しているかどうか、何回か行う中で確かめる瞬間にできるようになるでしょう。おすすめは夜寝る時です。おフトンの上に横たわる時、是非、とろけ寝でぐっすり眠る習慣がつきますように。