ボディートークのすすめ~心のしこりを体をとおしてほぐす
ボディートークは文字通り「体のおしゃべり」のことである。声の調子、身振りなど、言葉以外の体全体によるおしゃべりが大きく作用している。更に感情や本音は言葉よりむしろボディートークによって伝達されるといえるだろう。また心身一如と言うように、心と体はきわめて密接なつながりがある。体が硬いと心も萎縮し、声もこわばる。心の中にたまっているしこりを、体を通して気づきほぐしていこうというのが、私の提唱する「ボディートークの体ほぐし」である。
よく似た言葉に「ボディーランゲージ」があるが、これは相手の仕草・表情などを観察して、その奥にある心を分析しようというもので、外からのアプローチが中心である。それに対して「ボディートーク」は自ら体の内部を感じ、体の言い分に従って動き、しこりやゆがみを正し、健康をとりもどす方法であって、内からのアプローチと言えるだろう。ボディートークが更に進めば、自然で豊かな身体表現を身につけることができる。これはコミュニケーションを深め、個性を磨き、自らを啓発して人生を充実して生きていくための土台となる。
私はこのシリーズで、心がどのように体にしこりを作り、体をゆがませ、そのことが人間関係にどのように影響していくかを解明しようと思う。また、それではどうやって体のしこりやゆがみを取っていけばいいのかと、具体的な方法も提示するつもりだ。ただ知識としてボディートークの考え方を知るだけでなく、その場で実践し、体ごと納得されることをお勧めする。
ボディートーク法の第一分野は自然体法である。動物の行う代表的な健康運動は胴ぶるいである。水をかけたりすると、胴をブルブルと震わすアレである。胴ぶるいは必ずしも毛並みをそろえるためだけのものではない。胃や腸など、内臓のゆがみをとり、正しい位置へ戻すためのものだ。例えは横になって眠っていた犬が目を覚まして立ち上がるとすぐに胴ぶるいをする。そうすると、地面の方へ偏っていた内臓が元へ、スンナリ納まってくれる。このように動物は体の欲求に従って必要な時に必要なことを必要なだけ行う。まずは人間も健康のためにこういう動きが必要なのである。
人間も胴ぶるいは大切だ。胃がもたれるとき、イライラする時、胸が苦しいときなど、ほんの一、二秒、立ったままでブルブルとやると、ウソみたいに気が晴れる。その時、低く小さな声で「アー」と発声しながら行うのがコツだ。黙って胴ぶるいをすると息を詰めてしまう。息を詰めると体の内部をリラックスさせることができない。ボディートーク自然体法では、柔らかい発声を伴って体の内部を様々に揺するのが基本と考えている。